北海道三味旅〜その2〜

2008年12月23日〜24日の1泊2日、家族全員で北海道を旅しました。家族サービスが中心で駅弁メインの旅ではないため、クリスマスのホワイトイルミネーションに彩られた札幌の大通公園を観光しつつ、ちょっと寄り道して有名な「かにめし」を買うにとどめました。駅弁「北海道の三味(みっつの味=ほっけ、カニ、ジンギスカン)」の2つ目は長万部駅「かにめし(札幌ミニバージョン)」です。

      

上の画像は2008年12月24日、大通公園テレビ塔の展望台から見た藻岩山方面。その右手前にあるのが丸井今井札幌大通店。この地下1階に「かにめしかなや」札幌店があり、札幌にいながらして長万部の駅弁を購入することができます。

      

ここには通常バージョン「かにめし」1050円や「蝦夷めし」1260円や名物の佃煮「おしゃまんべ物語」、「みそ汁」(みそ汁好きの長女が激しく反応)、鉢盛り3150円などが買えます。その中でも札幌のこの店にしかないミニサイズ「かなやのかにめし」630円があります。今回はこれが目当てでしたので、さっそく購入。

      

掛け紙には以前のように札幌店だというような表示はありません。そのまま長万部駅売りのミニサイズ版という感じです。

      

中身です。駅売りバージョンの縮小サイズであり、入っているものに変化はないと思われます。630円というお値打ち価格で札幌市民の「街弁」としても浸透しつつあるようです。私が購入して精算している最中にもご婦人が「3つ、出来立てのを作っておいてね。後で取りに来るから。。。」と注文していきました。

      

さて、ここで話を脱線させます。長万部駅「かにめし」は昭和25(1950)年に登場した半世紀以上の伝統を持つ全国有名駅弁です。たけのこの千切りが混ぜられたカニフレークがごはんの上にたっぷり。そして真ん中に置かれた梅干しと錦糸玉子、まわりに散らされたグリンピースと、放射線状に置かれた椎茸煮。では、今やすっかりおなじみの掛け紙を昔から見ていきましょう。下は昭和30年代の「かにめし」100円。

            

下は1974年7月28日、長万部駅で初めて購入した「かにめし」。やはりその土地まで行って駅弁を食べるというのが最高ですね。この時の私は中学2年生。室蘭に親戚の家があったからこそできた一人旅でもありました。毛ガニのフレークはしっとりとして、口に含んだ瞬間、カニの本場、北海道を実感しました。350円でした。その後、駅弁大会で多く賞味しました。最近は毛ガニの数も減ってきたので、ズワイガニを主に使用しているようです。

                  

下の左側は150円時代の昭和44(1969)年8月8日。その右は2000年1月2日(1000円)。 

  

下は2005年8月、札幌駅前の西武百貨店で常時実演して売られている専用の「かなやのかにめし」掛け紙でした。2005年当時は掛け紙の下の方に「札幌西武店内かなや」と書いてありました。600円。しかし、その後は丸井今井大通店に移転し、掛け紙も変わりました。

            

そして下は2006年1月14日、2006年京王駅弁大会「かに対決」で出品されていた「かなやのかにめし」です。なんと伝統ある掛け紙が2006年元旦よりデザイン変更されたようです。昔はどうしても長万部と言えば毛ガニのイメージが印象強かったのですが、漁獲高が激減して価格が高騰し、駅弁においそれと毛ガニが使用できなくなった今では、伝統ある毛ガニのイラストを掛け紙から外すことは、結果的には客に対する誠実さのあらわれだと感じることができ、私は評価したいと思います。

      

2006年の京王で賞味したこの「かなやのかにめし」のカニフレークは、実演だからかもしれませんが、フレークと言うよりも「カニでんぶ」と言っても良いくらい、ふわふわ、さらさらとしていました。まるで東海道沿線で売られている「鯛めし」を思わせるようで、ちょっと驚きました。しかし、こういうふうになると味わいもより深く感じられ、伝統の「かにめし」とは言いながらも、今までにない全く新しい「かなやのかにめし」に生まれ変わったような気がするので不思議です。

      

たまたまこの日の釜の加減でこういうふうなになっていたとしたら、ラッキーとしか言いようがありませんが、掛け紙のリニューアルを機に、中身や製法にも変化があったのかもしれません。でも、私は今回2006年1月14日に食べたものが、今まで何回か食べたこの「かにめし」の中では一番好きです。

      

白く見えるのは酢漬けカニ身です。付け合わせとしてはワカメ、ヒジキ、小女子などが混ざった特製佃煮、みかん、香の物。甘みのあるカニでんぶの中には食感を良くするタケノコが混ぜられています。下は2006年4月に、はやしさんが長万部駅で購入。掛け紙はまだ昔のままだったようです。

        

ということで、長い脱線から話を2008年12月24日クリスマスイブに戻します。このお弁当は小3の息子がほとんど平らげ、私は息子が残した椎茸と佃煮、奈良漬け、(私が懇願した)一口のかにめしを食べたに過ぎませんでした。ミニサイズでしたし、もう一つ買っておけば良かったとちょっぴり後悔。しかし、駅弁が「街弁」に浸透している好例を見たような気がして気分は良かったのです。ホカ弁やコンビニ弁当では絶対にこの味は出せないでしょうから。こういう名物弁当がある限り、駅弁は「街弁」としても十分やっていけると。。。

      


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