肥薩線おにぎり駅弁紀行 〜その1〜
2009年10月10日〜12日の2泊3日で九州を旅しました。10月11日、宮崎での所用も無事終わり、特急「きりしま」で出発した私は、隼人駅で激混みの特急「はやとの風」に乗り換え。嘉例川駅などの古い駅舎を見ながら、30分足らずで霧島温泉駅に到着しました。
霧島温泉駅では2009年8月1日から、「かれい川」に続けとばかりに、「竹ん皮温泉おにぎり弁当」700円を土日限定販売しています。「ぽっぽや」と名乗る地元女性4人グループが半年もかけて完成させたという、地元の食材を生かした手作り弁当です。これは特急「はやとの風」2号が到着する時間帯にホームでしか売られないレアな駅弁でもあります。因みに下り「はやとの風」1号では停車時間が短く、どうしてもと言うなら事前予約0995(76)0133をして、デッキ受け渡しでないと厳しそう。なお、原則として午前中のみの販売です。
列車が停まると、一番にホームへ出ました。特急「はやとの風」2号の停車時間は5分ですが、ホームには地場産品を売る机が並び、その中にはパック入りのおにぎりもありました。しかしこの日、ぽっぽやさんの「竹ん皮温泉おにぎり弁当」は見当たりません。ちゃんと電話で予約したはずなのですが。。。とりあえずホームにはないと判断し、急いで駅舎に向かおうとすると、車掌が「下車されますか?」と声を掛けてきました。「いえ、ぽっぽやさんのおにぎり弁当を予約しているので。。。どこにあるのか知りませんか?」と私が答えると、「さぁ。存じ上げませんねえ。。。」
駅舎の中には「はやとの風」2号が数分間停車する他の駅と同じように、野菜などの地場産品が並んでいましたが、なぜかこの駅だけは車掌が案内アナウンスすることはなく、閑散としていました。ここで見つけなかったら終わりです。焦りながらもよ〜く見てみると、その中に私の名前が書かれた貼り紙を発見。写真入りのポップの下に、1個だけ置いてあるのを、とうとう見つけました。しかし、10個の販売じゃなかったのでしょうか。この日は町内でイベントがあるとは聞いていましたので、大方そちらに持っていったのでしょうか。。。しかし、聞いている暇はありません。とにかく700円を払って再び列車方面に。。。ホームにいた車掌が「ありましたか。良かったですね。私は知らなかったのですよ。よくお調べになりましたね」と。。。
さて、中を開けてみましょう。まず、地域住民であるマツエさんとミッちゃんばあちゃんが竹山に通って集めたという竹皮。つまり、タケノコの皮なわけですが、これがしっかりしたもので感動しました。それから、安楽温泉の温泉水で炊いたという粘りのあるご飯を使ったおにぎりは、とってもモチモチ。豚博士の前田さんが土着菌をエサに混ぜて育てたという黒豚はクセのない味で、一口カツや豚みそ入りおにぎりに。。。椎茸栽培一筋の首藤さんが提供した椎茸の煮物も肉厚でした。さらに卵焼き、サツマイモを使ったガネなど、地元民の協力がいい味を出している駅弁に仕上がりました。
実は「竹ん皮温泉おにぎり弁当」を買ってから、まだ2分の停車時間がありました。そこで駅名標と一緒に駅弁を撮影しておこうと、再びホームの雑踏の中へ。本当はこの駅、1990年から無人駅なのですが、今ではなんと名物駅長がいるのです。下の画像の可愛い男の子がそうです。駅前に住むというこの男の子は、曾祖父さんが駅長を務めていたことから、「霧島温泉駅振興会」の提案とJR九州からの委託で、2008年1月13日、駅長に就任しました。当時2歳から土日の「はやとの風」2号をホームで送迎してくれています。被っている帽子は曾祖父さんが身につけていた本物。客室乗務員のお姉さんの話では、最初は嫌がって泣いたこともあったようですが、最初に覚えた言葉が踏切の「カンカン」というくらい、もともと鉄道が好きだったので、今ではプライドをもって仕事を楽しんでいるとか。。。前の週は保育園の運動会で欠席したそうなので、この日は会えてラッキーでした。直立不動の姿勢と敬礼の手つきがとってもサマになっていました。
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