ガチャコン駅弁の旅〜その2〜

2006年11月19日。近江鉄道で「ガチャ+リン」と呼ばれるサイクルトレインとレンタサイクルがセットになったイベントがあり、五箇荘駅でそれに因んだ大学生とのコラボ駅弁が売られるということを1週間前に聞きました。もともとこの日は滋賀方面に来る計画があったので、これをメインとして旅を組み立て直し、話題の五箇荘(ごかしょう)駅にやってまいりました。

    

午前10時50分。今にも雨が落ちそうですが、確かにイベントは行われていました。龍谷大学経済学部伊達研究室のみなさんがスタッフとして出迎えてくれました。詳しいことはわかりませんが、近江鉄道の利用促進や町おこしの一環としてこのイベントを立ち上げ、研究室をあげて「自転車を活用した地域活性化策を研究」に取り組んでいるようでした。今回は「近江鉄道のサイクルトレインを応援するイベント」第1弾ということのようです。

    

こういう手作りのポスターはいかにも学生らしくて好感が持てます。1年前の日本大学国際関係学部金谷ゼミと桃中軒、三島市のコラボ駅弁であった三島駅「おおね御膳」での取り組みをふと思い出しました。

    

さて、さっそく駅弁を受け取ってサイクリングをしようと思ったのですが、あれれ、駅弁がありません。よく見るとテントの中に携帯用のガスコンロが。。。もしかして今から作ると言うことでしょうか? テーブルの上には「ガチャコン弁当作り♪」というプリントが。。。そうか、だからそれまでに教授と何回か電話でやりとりしたときに、「食べられる直前にお出ししたいので、何時頃到着されますか?」としきりに聞かれていたのは、目の前で学生が作るということだったのです。

    

どうやら予め「すき焼にしむら」で下ごしらえした肉を加熱し直すということのようです。そこで、鍋の中を覗くと、真新しい感じがしました。「今までにどれくらい売れたのですか?」と聞くと、なんと、これが第1号だと言うことでした。天気が悪そうなので、10時から開始していたとは言え、やはり苦戦している様子。

    

曲げわっぱを使用しています。これだけでも100円以上するなあと、たまにこういう器を卸問屋に買いに行く私は思ったのでした。

    

近江特産の「赤こんにゃく」です。添え物として置かれるのでしょう。

    

ビニール手袋をはめ、きれいに盛りつけていきます。掛け紙がどっかに行ってしまったとか、おつりがないとか、いろいろとバタバタしていましたが、それもご愛敬。

    

さあ、学生たちの努力の結晶が完成です。本日限り50個限定「ガチャコン弁当」700円。

    

掛け紙は教授曰く、いちばん絵の上手な学生がパソコンで作ったと言うことでした。駅名や近江鉄道の名前も入ると、より駅弁らしくて良かったですね。この日は近江鉄道運輸課の係長さんや、東近江市交通政策課の課長さん、商工観光課の方など、関係者や地域の方々も見えていました。

    

運良くたまたま「第1号」の駅弁を手にすることになった私。電車と一緒に撮ると、駅弁らしく見えますね。

    

駅名標と一緒に撮ると、さらに旅の雰囲気が出てくるような気がしますが、いかがですか?

    

それでは、この駅弁とともに近江商人屋敷の町並みをママチャリでサイクリングしてきます。カゴに入っているのが「ガチャコン弁当」。

    

実は4半世紀ぶりのサイクリングをしたわけで。。。自転車に乗るのも20年ぶりくらいか。。。乗り方を忘れていたらどうしようかと思いましたが、学生たちに見送られてなんとかスタート。

    

とても長閑な近江平野。遠くに見えるのっぽな建物は観峰館という書道文化博物館。下の画像は白壁と蔵屋敷の「五個荘」の町並み。倉敷っぽいというか、津和野っぽいというか、とても落ち着いた静かなたたずまいで、町の景観としては一級品だと思いました。こういう観光資源が日本には埋もれていたのだと痛感。それにしても関西に7年も住み、近江八幡には親戚もいる私が「五個荘」を観光地として知らなかったのはちょっと恥ずかしかったです。

     

お堀を泳ぐ鯉と「がちゃこん弁当」。ここに座って食べたいくらいでしたが、今にも雨が降りそうでしたので、泣く泣く帰途につきます。それでも2時間ほど五個荘に滞在でき、久々にゆったりとした旅ができました。

    

五個荘の街角には「お持ち帰り下さい」という柿の袋づめが入った段ボールが置かれているのを発見。いいですねえ、こういうことができる住民の真心。まだまだ日本も捨てたモノじゃないですね。

     

京阪神からそう遠くないのに、妙に観光化されていなくて、とってもいい雰囲気でした。みなさんもぜひ一度訪れてみて下さい。

    

さて、サイクリングで腹ごなしができたので、五箇荘駅に帰り、ホームの古いベンチに座って駅弁をいただきます。

    

派手好きの織田信長がこんにゃくまで赤く染めさせたというエピソードもある名物「赤こんにゃく」とネギの色合いが食欲をそそります。

    

漬け物が学生らしいラッピングで添えられていますが、これは日野菜(ひのな)漬けというらしいです。

    

日本三大和牛の一つ、近江牛。おいしくないはずがありません。しかも、近江牛を知り尽くした地元でも有名だという「すき焼にしむら」が調製したとなれば、美味しいに決まっています。実際、冷めた状態でも肉は柔らかく、言うことはありませんでした。

    

地元の市町村を取り込み、この日だけでなく、今後もこのようなイベントを続け、鉄道や町おこしに駅弁が貢献してくれればいいなあと改めて思いました。そして、駅弁に関心を持つ人が増えてくれればさらに嬉しいです。

    

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