「三嶋物語 おおね御膳」
2005年12月1日〜2006年2月28日まで期間限定販売の新作駅弁「三嶋物語
おおね御膳」です。
この駅弁は2005年7月中旬より、
日本大学国際関係学部(三島キャンパス)
金谷ゼミ4年生12名と、
三島市せせらぎ事業推進課、そして
桃中軒とで、「三島の特産品を生かしたお弁当」をテーマに産官学協働で開発し、12月に誕生したユニークな駅弁です。
日本大学の学生へのアンケート調査や、ゼミ生による三島の特産物調査などをふまえ、6回にわたる試作を重ねた末に完成しました。
かく言う私も陰の存在として桃中軒より後方支援を要請され、大根を用いた過去の駅弁の調査や、最終段階の試食会では味付けや盛りつけなどについて意見を求められ、微力ではありましたが協力させていただきました。
三島の野菜「大根(通称:箱根大根)」にこだわり、ほとんどのメニューに大根が入っています。
三島産の有機栽培認証の人参、三島市内でも養豚がされている「和豚もち豚」を使用し、修善寺産無農薬黒米など、「三島」にこだわった内容となっています。露地物の大根を使うことで、季節感と旬を感じられる、学生が求める優しい味付けの「おふくろの味」が一折の中に凝縮されたと思います。
パンフレットの表面
(みしまっぷ) |
パンフレットの中身
(お品書きなど) |
地元新聞の報道
(駅弁完成) |
日大生が制作
街中掲示ポスター |
パッケージの底 |
↑ご覧になりたいものをクリックしてみて下さい。大きな画像が見られます。
箱根大根が描かれたフタを開けると、そこには金谷ゼミの通称でもある「たんぽぽ」のマークが出現します。
そして、たんぽぽの花を開くと。。。
そこには、「おおね御膳」のお品書きなどが書かれたパンフレット(左上サムネイル参照)が登場します。
今度は全体を見てみましょう。
三島駅前にある小松宮彰仁親王の別邸「楽寿園」。その中にある湧水池「小浜池」から端を発する源兵衛川のせせらぎには、三島市の鳥、カワセミが実際には水車の横をかすめるようにして街中を低空飛行しています。
川縁には板が敷かれ、誰もが歩ける水上プロムナードを実現していますが、「おおね御膳」のパッケージ正面には、そんな三島の風景が描かれていました。
パッケージの側面(左)には「富士の白雪ゃノーエ〜♪」で全国に知られる民謡「農兵節」を踊る様子が描かれています。
その反対側、パッケージの側面(右)には箱根大根の生まれた、何とも長閑な箱根西麓の風景が描かれていました。
そして背面には箱根旧街道の経路と箱根大根の生産地がイラストされていました。空白部には調製ラベルが貼られます。
さらに、感動的なのはパッケージの底面(このページ最上部右端のサムネイル参照)です。
「皆様のおかげで、美しい街・美しい水が守られています。お召し上がり後の容器は、お持ち帰りいただくか、お近くのくず物入れに入れて、街の美化に引き続きご協力お願いいたします。」
と書かれています。
これは当初すごく簡単に「ものづくり」をとらえていた学生たちが、数々の試行錯誤を繰り返しながら苦労を重ね、時間の制約もある中で「まちづくり」に取り組んできた結果、素直に生まれた言葉のようです。こうして出来てしまえば当たり前のように作られているお弁当が、本当に多くの方々に支えられて出来上がるものであるということを学び、それが感謝の気持ちとなったのでしょう。
「箱根大根」の駅弁に辿り着くまで 〜学生たちの歩み〜
1.金谷ゼミ
日本大学国際関係学部金谷ゼミでは国際交流などを縦軸に、地域開発を横軸に据え、国際社会の実学的な研究を行っているそうです。ふだんの講義では「まちづくり・むらづくり」に関して学び、地域住民や行政と協働してイベントを行うことから組織で働くことの苦労や充実感、今後の国際貢献の在り方などを経験の中から見つけ出していくとのことです。
2.三島市の「街中がせせらぎ事業」との関わり
「街中がせせらぎ事業」とは、「歩きたい街」、「住みたい街」を目指し、市民と行政が協働して進める魅力ある三島市の地域作り事業です。この地域のアイデンティティーづくりにかかわってきた金谷ゼミでは、2004年度「みしまっぷ」(このページ最上部左端のサムネイル参照)を作成し、好評を得たことで、2005年度も三島市まちづくり部せせらぎ事業推進部からの誘いを受けました。
3.三島の駅弁
自分たちにできることを話し合い、その結果、考えるだけでなく、発信できる形をつくろうということになり、議論の末に出てきたのが駅弁だったとのこと。
「駅弁」は日本の文化として多くのメッセージを発信しながら、食としては誰にも身近な題材であるということに気づき、駅弁を通じて自分たちが4年間学んだ三島の特産をもっとアピールできるのではないかということに自信をもったようです。
(1)箱根西麓野菜
県内の駅弁としてすでに出ている鰻でもなく、桜えびでもなく、三島にしかないものをPRしたいという思いから、まずは
箱根ファーマーズカントリーなどでの話を聞き、箱根西麓野菜で作った料理を試食。
箱根西麓野菜の土壌は豊富な火山灰土で、低農薬・高品質でおいしい野菜が採れるということを知り、自分たちの調べた他の特産品の中から総合して、箱根西麓野菜にすることを決定しました。
(2)箱根大根
メインの食材になりうるものとして、じゃがいも、だいこん、かぼちゃの3つに絞ったそうです。その後、それぞれの歴史的背景や、栄養成分、調理法などを調べ、多くの言い伝えがあり、三島との歴史が深く、大根をメインにした駅弁がなかったこと(←ここは私の調査)、また、JAや生産者の地産地消を願う声などから、駅弁を売る季節に適した野菜を出すべきだという結論に達し、大根に最終決定したそうです。
(3)駅弁の内容
日大生200人にアンケートをとった結果をふまえてゼミ生の各々が大根を使ったおかずを調べ、箱根西麓で食べたジャガイモ餅を参考にした「大根餅」などのメニューを桃中軒に提案し、多くの試作を繰り返してついに完成を見ました。
(4)「おおね御膳」の名前の由来
「おおね」とは大根の古い和名であり、現在でも大根を表す冬の季語として使用されています。また、大根が庶民的な野菜であるということを感じさせない高級感を引き出すために、「弁当」ではなく「御膳」という言葉を用いることに決定したそうです。
このように、学生たちは苦労したかいがあって、よい学びになったようです。このページをご覧になっている皆様も、これで「おおね御膳」のことがわかっていただけたでしょうか?
さて、それではそろそろ中身を見ることにしましょう。
「おおね御膳」の中身を見る ←クリックして下さい。