大雪の東北駅弁行脚(前編)その3
2005年12月23日、「スーパーひたち7号」から「はやて15号」に乗り換えようとした仙台駅新幹線コンコース。NEW DAYS 34号売店022−227−6609で、珍しい駅弁を目にしました。その存在こそ知ってはいましたが、今回の目的には含まれていませんでしたので、まさかの出逢いに嬉しくなり、「駅弁はあるときに買わないと次に来てもなくて後悔する。」という今までの教訓も手伝って、残り2個になっていたうちの1個に手を伸ばしました。その時間12時30分ジャスト。レシートにそう書いてありました。ウェルネス伯養軒の調製で、1000円。全国的にも珍しい「鯨」の駅弁ゲットです。
この駅弁は
「いしのまき旬鮮市場」とウェルネス伯養軒との協働駅弁のようで、過去に酒のつまみ駅弁「酒肴(しゅこう)六右衛門弁当」や「桃生豚(ポーク)コクだれ弁当」、
「宮城・南三陸女川 笹巻き えんがわずし」などと同じシリーズに位置づけられると思います。「極上 宮城県南三陸金華山沖獲り
金華さば棒ずし」とともに、2005年10月から発売されているとのことです。これらの駅弁には
「食材王国みやぎ」のロゴマークも入っており、宮城県や南三陸石巻地域の食材を全国に向けて発信したいという地元の人たちの思いが詰まった駅弁となっています。
1950年代、宮城県石巻漁港は日本を代表する一大捕鯨基地でした。古来から鯨は「いさな」と呼ばれ、鯨食文化が伝統として受け継がれてきました。捕鯨が禁止された時には廃れる危機もありましたが、近年になって調査捕鯨数の制限が徐々に拡大されてきており、石巻漁港にもかつての活気を取り戻しつつあるということです。この駅弁は懐かしい在りし日を偲び、再び良き時代を復活させたいという思いが溢れているのです。
この駅弁は石巻漁港で調査捕鯨のため水揚げされた鯨を使用しています。ベーコンに本皮、南蛮漬けが五目ご飯の上に載せてあります。正統派の鯨料理という感じがします。これで竜田揚げがあれば個人的には言うことないですね。給食に鯨が入っていた世代の私には、感慨深いものがありました。
12時38分、定刻に仙台駅を発車した「はやて15号」はぐんぐんとスピードを上げて、終点八戸に向けて厳寒みちのくの地をひた走ります。車窓の風景もだんだん銀世界になってきました。
さらにこの旅を続ける 東北の駅弁リストに戻る