大雪の東北駅弁行脚(前編)その4

2005年12月23日、「はやて15号」を定刻の14時3分、終点八戸駅に降り立った私は、在来線との乗り換え改札口近くのNRE2号売店で土産の「ほや」を5箱買い、14時15分発函館行き「白鳥15号」に乗り継ぐべく、ホームへと急ぎました

      

このホームで受け取ったのが「菊ずし」で有名なニュー八の駅弁です。これらの駅弁は運がよければ売店でも買えますが、確実に手に入れたいなら予約が無難です。もしニュー八に予約する場合は0178−70−2883へ。私の場合、最初は新幹線改札内のNRE2号売店で受け取る予定でしたが、変更されて「白鳥15号」乗車口(今回は7号車)受け渡しとなりました。

            

当初は「白鳥15号」の車内で賞味しようと考えていましたが、かなり混んでいたために諦めました。青森駅から次に乗車予定の「かもしか6号」で食べようと決め、ひとまず眠りにつきます。

ところが、定刻通り15時17分に青森駅に着いてからがビックリ。いっぺんに目が覚める思いがしました。乗車予定の「かもしか6号」が入線していないのです。そして、何やら駅のアナウンスが慌ただしい。耳を澄ますと、どうやら秋田県地方の大雪で、折り返し「かもしか6号」となる「かもしか3号」が東能代駅で立ち往生しているらしいとのこと。車両が来なければ出発できない。秋田方面に向かうには、16時13分発の662M普通電車に乗車して欲しいとのことでした。

とりあえず、焦っても仕方ないのでこの2005年7月、青森に滞在した際、3日間通い続けた焼きリンゴロールの美味しいケーキ屋さん&インターネット喫茶店サンドリオンに向かいます。ここで一服して、次の作戦を練った結果、とりあえず16時9分発「つがる17号」に乗って弘前まで行くことに。「いちご煮弁当」の駅弁はその車内で開きました。

      

      

「いちご煮弁当」はそのウニの形が初夏のころ野山で摘まれるキイチゴに似ていることから「いちご」と名付けられたそうです。この駅弁には珍しいことにお吸い物が付いています。もちろん冷めていますが、ウニとアワビの潮仕立てです。冷たくても味は磯の香りが高く十分おいしいと感じられます。蒸しウニのごはんにもまろやかなコクがあって、かきこみたくなるほど美味しかったです。菊の花の酢の物が土地柄を感じさせます。帆立や野菜の煮物などもついて1155円。

      

車窓には夕暮れが近づき、雪は降ってはいませんが、相当積もっています。このまま秋田まで行ってくれないかなあ、これなら行けるじゃないか、と真面目に思いました。

      

弘前には定刻の16時45分に到着。しかし、反対側のホームには14時56分発の秋田行き656Mが停車しており、一瞬凍り付きました。すでに2時間もこの駅で足止めを食らっているのです。乗客は一様に疲れ切った顔をしています。それを見て、少し不安になってきました。

      

改札を出ると電車に乗れない人たちでごった返していました。7月には弘前城を訪れるなど、楽しく過ごしたこの弘前で、今回は雲行きが怪しくなってきたようです。それでも駅員に「日本海2号」が動くことを聞き、妙に安心して秋田まで指定席をとります。夏には立席でこの駅から青森まで行った、今度は秋田まで寝台券を買わずに行くのもまた楽しいものだ。。。そんな安閑とした思いは、「日本海2号」が17時20分の定刻になってもまだ青森駅すら発車していないことを知って打ち砕かれました。

実は大館駅では「特上鶏めし弁当」をデッキ受け渡しで予約していました。こちらも大正時代の駅弁掛け紙を渡すつもりでいました。だからなんとしてでも大館まで行きたい。そして今日のうちに宿をとっている秋田まで行かねば、明日の駅弁の予約も。。。

大館・花善さんと電話で連絡を取りつつ、19時になって先に656Mが約5時間遅れで動くという情報が入り、指定券をキャンセルして飛び乗ります。「前を行く列車が運転を再開しました。信号が変わったらこの列車も発車します。」という車掌の弾んだ声に、疲れ切った車内の雰囲気が元気を取り戻します。しかし、それもつかの間、「前の列車が雪を巻き込んで停車しました。それが除去できるまで列車は動きません。復旧は21時頃を予定していますが保証はできません。」というアナウンスに、私はあきらめの決心がつきました。実は花善さんはこの日の夜に用事があって、代理の人を残して受け渡しします、という先ほどの電話の言葉にも、これ以上ご迷惑をかけられないと思っていたのです。秋田の予約2社にも電話しますが、誰も出ませんので明日に回します。秋田のホテルに連絡を入れると、こういう事態なら仕方がないと言われ、無償でのキャンセルが成立しました。東横イン秋田東口の関係者には本当に感謝します。

明日の酒田、新庄行きもあきらめ、急遽「こまち12号」の指定席を東京まで取ります。明日の早朝「いなほ8号」に乗れば、花善さんの駅弁受け取り可能時間でもあるし、少々遅れても秋田には9時過ぎに着き、予約した駅弁も受け取って10時の新幹線に乗り、クリスマスイブの夜は三島の自宅で家族とともに迎えられる。。。こうして自分なりに計算し、しかし弘前駅前のシティーホテルにまさかの投宿をしました。弘前にはひとかけらの雪さえ降っていないのに。。。

      

弘前のホテルで食した「うに釜めし」です。厳密には翌朝いただきました。帆立3個に蒸しウニがごはんの上に載っています。東北の冬の怖さをしみじみとかみしめながらいただきました。

      

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