「南北」弾丸駅弁旅
〜その3〜
2010年8月29日、熊本から九州横断特急に乗り、雄大な阿蘇山を車窓で楽しみつつ、別府へ抜けました。別府に下車したときには必ず立ち寄る竹瓦温泉に、この日は息子を連れて行きます。そして湯上がりには、温泉の目の前にある駅弁を作るカフェに。。。
この日、大分でEXILEのコンサートがあるということで超満員の九州横断特急に揺られ、3時間の列車旅。阿蘇の外輪山も綺麗に見えました。別府に着くと息子のリクエストに応えて温泉に。いつもの竹瓦温泉に行きました。
入浴後、竹瓦温泉の向かいにあるTAKEYAさんにちょこっと挨拶し、すぐに別府駅へ。キヨスクにあったお目当ての駅弁を購入します。下は2010年8月29日、別府駅で購入した「別府湾弁当たみこの夢弁当」1000円。
5年ぶりに購入しましたが、初めて駅で買う嬉しさが込み上げてきます。この駅弁が生まれた当時と変わらぬ美味しさを保っていました。
この駅弁の調製元のすぐ近くにある竹瓦小路アーケードを修復しようとの願いを込めてつくった弁当です。別府湾のジャコめし、豊後牛、とり天が入り、さらには特製カレーパンやゆず羊羹もおまけに付いて、楽しさいっぱいのお弁当です。しかし、生まれて5年間、駅売りをしない「駅弁」でもありました。
ここで、この駅弁が売り出された2005年を振り返ってみましょう。
下は2005年12月7日、別府駅より海に向かって徒歩10分、
竹瓦温泉
正面、アーケード入り口に位置するオープンカフェ
「TAKEYA」
(下の画像の左端の建物。右端は「竹瓦温泉」)。この時に初めて訪れました。
「別府湾弁当 たみこの夢弁当」は大分県が募集したコミュニティービジネス支援事業で採択された別府八湯トラスト「別府湾弁当の開発と路地裏B級グルメのブランド化」に関連したお弁当です。JR九州ともタイアップしており、JR九州の観光キャンペーン(2005年10月1日〜2006年3月末)で、
「今度の旅は大分にしますか? 鹿児島にしますか?」
の駅弁対決イベントで、嘉例川や大分の駅弁などと共に取り上げられ、さらに駅売りをしていないにもかかわらず
「九州の駅弁ランキング ベスト50」
にも特別扱いでエントリーしているという、あれよあれよという間に全国に躍り出た、まるでシンデレラのような駅弁(候補?)でした。
この弁当を作るにあたって、オーナーの親子お二人は「『駅弁の小窓』に掲載されている駅弁も参考にしたんですよ。」と言われ、私も嬉しくなってしまいました。TAKEYA(有限会社たけや)電話
0977−23−1006
で、この弁当の収益金は別府八湯トラストが取り組んでいる竹瓦温泉前の木造アーケード(大正10年築)再生に生かすということのようです。また、このトラスト会員で、再生活動のリーダー的存在であるこのお店のオーナー水口民子さんの名前を弁当につけ、その思いもこめて「たみこの夢弁当」としたとのことでした。単に自分の利益ために作っているのではないと知り、さらに感動しました。
価格は1000円。2005年10月〜2006年1月末まで事前予約(2日前までにJR九州の窓口で駅弁引換券を購入)のみの販売です。お店での受け取りは午前10時〜午後2時まで。月曜日は定休日だそうです。
遠方からの旅行者である私は2日前にはまだ九州に着いていないので、JR九州に電話して事前予約の方法を聞いたところ、のっけから「直接電話してみましたか?」と聞かれたので、なんだ、直接電話してもいいんだなと判断し、TAKEYAの店に電話をして、思ったよりもたやすく予約ができました。
さて、お弁当の内容ですが、九州では定番のじゃこ、高菜の炒め物が載ったごはん、今が旬の白身魚アメタ(時期によってゼンゴやアジなどに変わるそうです。)の南蛮漬け、大分県名物の鳥天、やわらかい豊後牛の香味焼、名物である肉厚の椎茸など野菜の煮物、大きくてふっくらとした自家製玉子焼き、そしてデザートにもサクッとした歯ごたえがうれしい自家製カレーパン、ぱあっと口の中が爽やかになるアーケード内の老舗塩月堂「ゆずねり羊羹」などが入った、まさしく地産地消の弁当でした。
どれも素朴ですが量的にもちょうどよく、味は確かな「おふくろの味」で、竹瓦温泉に入った直後でもあったのですが、お店の前のテラスでいただいて、とっても温か〜い気持ちになりました。ズバリ、この弁当は期間限定のキャンペーンで終わらせるのはもったいないです。今後は別府駅のキヨスクに納入してほしい「駅弁」だと思いましたし、そうなれば十分に評判を呼んで売れる予感がします。そしてそのためにも、ぜひとも
九州駅弁ランキング
の上位にランキングさせたいですね。全国の駅弁ファンの皆さんも「民子さんの夢」が実現するように、ぜひ応援、投票してあげてください。
実際、お店のオーナー親子のお二人は売れ残りを心配して、まだ駅売りには消極的なようですが、ランキングの上位になれば自信がついて、駅売りに参入する可能性は十分にありそうなご様子でした。ぜひ失敗を恐れず、チャレンジしてほしいと思います。駅弁の掛け紙は3種類。山吹、橙、薄緑の千代紙の上にさらにもう1枚、竹瓦温泉をイラストした版画チックな和紙を重ねて貼り、仕上げに「民子」と書かれたオーナーの似顔絵スタンプが捺印されています。
ということで、ここからは2010年8月29日の話。2005年に登場したこの駅弁は第5回九州駅弁ランキング(2008年)で初めてトップテン入り、しかも2位を獲得し、第6回第5回九州駅弁ランキング(2009年)でも連続の2位を獲得し、これで自信を付けたことでしょう。押しも押されぬ九州を代表する駅弁となったのです。そして2010年4月には別府駅のキヨスクに置かれることになりました。オーナー自らこのニュースを当サイトに知らせてくださいました。下は2010年8月29日の別府駅キヨスクの様子。ケースの中には「たみこの夢弁当」が置かれています。「今まで、駅売りしていなかった駅弁」という紹介が何とも複雑微妙ですね。
博多行きの特急ソニックに乗車しながらいただきます。この日(2010年8月29日)も調製元に寄り、3年ぶり3回目のご挨拶させていただきましたが、今回は正真正銘の別府駅で購入していますので、やっと駅弁らしくなったと言えます。
途中、杵築駅でEXILEの団体専用列車とすれ違いました。また、北九州の門司港レトロ地区で観光をして博多空港から帰りました。息子はまた一緒に旅行したいと言ってくれました。
自宅に戻ったのは8月29日22時半。そして翌朝4時にはまた車で羽田空港に向けて出発しました。今度は北海道へ一人旅です。
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