栃木駅弁メモリアルの旅

2005年11月19日、この月で黒磯駅から撤退するフタバ食品の駅弁に惜別しようと、いてもたってもいられなくなってしまい、新幹線を乗り継いで宇都宮までやってきました。そして、これから迎える別れの前に少しでも元気を出しておこうと、今回は「玄氣亭」に手を伸ばしてみました。

          

まず、掛け紙に描かれたイラストが非常に印象的ですね。かなり目立ちます。夕顔(干瓢)の実をくり抜いた工芸品「魔除面」だそうです。上の画像にカーソルを当ててみてください。中身のアップが出てきます。

     

干瓢は鉄、リン、カルシウム、カリウム、食物繊維たっぷりの健康食品として注目されています。この駅弁は干瓢と玄米入りのいなり寿司、日光ゆば、干瓢の天ぷら、グルテンミート、竹の子や山菜が入っています。そこで精進料理風の健康志向かなと思いきや、春雨をまぶした海老の天ぷら、豚ロース焼などの肉もどーんと入っており、その内容は緩急自在というか、メリハリがあって非常にユニークだと思います。

     

宇都宮駅ではもう一つ、「宮小町」を買いました。「宇都宮駅開業110周年記念弁当」と書かれていたためです。この2005年は「宇都宮駅開業120周年」にあたり、8月には「駅弁発祥の地おにぎり」をはじめとする記念駅弁も出ましたので、混乱を避けるためにもわざわざ10年前の「記念弁当」の文字を残しておくこともなかろうと最初は感じました。しかし、古くてもしっかり残しておこうという宇都宮の駅弁屋の心意気に妙に感じ入り、「黒磯もそうしてくれればいいのに」などと多少すねていた私のこの日の感情ともマッチングして買ってしまったのです。

           

でも、食べてみて10年残してきた意味がわかりました。日光ゆば、かんぴょう、鹿沼コンニャクなどの栃木名産をふんだんに盛り込んだ、まさに「雅」で上品な駅弁でした。 

     

ご飯は、小町娘の帯に見立てたかんぴょうを巻いた稲荷ずし、ゆかりをまぶしたのご飯、きのこやコンニャクが入ったまぜご飯の3種類。おかずは「玄氣亭」にも使われていた春雨を衣にした海老フライ、焼き鳥、焼き魚などで、デザートには小福餅。何となく昔(少なくとも10年)にタイムスリップした感じで、黒磯駅に向かうことができました。

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