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栃木駅弁メモリアルの旅2
2005年11月30日でフタバ食品黒磯営業所九尾弁当総本舗が閉鎖され、フタバ食品の九尾弁当として駅で売られた1957年以来、48年でその幕を閉じることになりました。実際にはその前より釜めしは売られていたそうですが、いずれにしても長い駅弁の歴史に終止符を打つことになったわけです。
下は2005年11月19日、黒磯駅にて購入。
昔の掛け紙のイメージが強かったものですから、個人的な思い入れで1980年代の掛け紙を引っ張り出し、それを掛けて撮影しました。しかし、実際にはベージュのパッケージタイプが撤退前の最終形(上の画像にカーソルを当てて下さい。あるいはこの下の画像がそうです。)ということになりました。
内容はちらしすし風ですが、ネタにチーズやハムが・・・九尾の狐をかたどった和洋中の9つの味が楽しめる異色の逸品として、長らく駅弁界に名を馳せてきました。京王をはじめ関東地区などの駅弁大会でも人気を博していたのです。1963(昭和38)年には昭和天皇が「九尾すし」を召し上がり、以後、宮内庁御用達の駅弁として揺るぎない地位を築いたかに見えました。
しかし、営業所の方の話によると、千葉工場閉鎖による東武浅草駅での販売撤退、また、10年ほど前から駅弁大会では送り駅弁が増え、無添加、安全性を考えて実演にこだわった九尾駅弁は出番が減少し、それに伴って売り上げも激減、乗降客がさして多くない地元駅販売が中心とあっては、撤退は時間の問題だったそうです。
「九尾の味」は実質「九尾ずし」です。2003年11月30日に購入しました。
それ以前はボール紙のフタを使用。そしてその前はさらに下の画像のように、伝統的な掛け紙タイプ(1977年8月7日購入。)でした。
ここで「九尾の狐」伝説と「九尾すし」販売の由来を少し。。。
下野の国、那須野が原にある「殺生石」。今を去る800年以上前、「玉藻の前」という絶世の美女を寵愛するようになった時の関白忠道は、病魔に冒され、それは彼女を愛すれば愛するほどひどくなりました。そこで、陰陽師安部泰成に祈祷してもらったところ、玉藻の前は白毛金色、九尾の老狐と化し黒雲に乗って東へ飛び去ったそうです。九尾の老狐は那須山麓で眠っていたところを神槍神弓で討ち果たされ、殺生石になったと言われています。
この老狐は、中国では暴君で有名な紂王、インドでは斑足太子の后として、酒池肉林、贅沢三昧の宴を重ねて日本に来たと言われています。
「九尾すし」はこの故事を踏まえ、贅沢な味覚で客の寵愛を一身に集めたいという願いから生まれた駅弁なのでした。。。
確かにこの駅弁は昭和天皇をはじめ、たくさんの客から寵愛を受けました。
しかし、「無常」を感じざるを得ません。
伝統の味を誠実に、そしてかたくなに守り続け、この「九尾ずし」のように名物駅弁になり得たとしても、駅に人が多く訪れてくれなければ、そして駅を出て全国の駅弁催事中心に走らなければ、地方の駅弁は廃れていくしかないのでしょう。寂しいことですが、それが現実です。
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次はこの黒磯駅でなくなる他の名物駅弁を見てみましょう。
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※ここから下は嬉しいお知らせです。
2005年に黒磯駅から姿を消した駅弁「九尾釜めし」が東北自動車道下り線の上河内SAで2012年秋、復活したとのことです。
実は、少なくとも2009年にはここのレストランに「九尾釜めし」のメニューがあり、上河内SAを訪問したところ、しかし、午前11時からと言われてその時は断念。また、2010年前には外の売店で売られているとのことでしたので、今度は午前11時に行ったら、またしても売り切れだと言われました。つまり、厳密に言えば2012年秋に復活したのではないと思うのですが、いずれにせよ、復活したのは間違いないということで、フタバ食品028・674・2121に事前連絡をして、予約をした上で、2013年10月13日、東北道の上河内SA(下り)を訪れました。
下は2013年10月13日、事前名予約して東北道の上河内SAで購入した「九尾釜めし」900円。
下は2013年10月13日、東北道の上河内SAで購入した「九尾すし」850円。
「九尾釜めし」は8年前になくなった駅弁ですが、4年前にここの九尾レストランで売られていた「九尾釜めし御膳」が午前11時からということで時間が早すぎて食べられず、3年前には外の売店にポスターが張られているのを見て買い求めたら売り切れだと言われ、あまりに残念な経験が続いていました。今回は全国紙に「昨秋から復活」?と書かれていた情報をもとに事前電話予約して行ったので確実に手に入れられて本当に良かったです。
昔は益子焼きの窯の蓋に九尾の狐が彫り込まれていましたし、釜にも「九尾」と書いてありました。しかし、復活した釜にはそのどちらもありません。しかし、中身は以前のままで、牛蒡や竹の子、鶏肉がとても懐かしかったです。
「九尾すし」を見たときにはさすがの私もおったまげました。実は2013年10月11日から13日の午前中まで所用で茨城県内にいたので、ついでに立ち寄ってみようと12日に「九尾の釜めし」を電話予約していました。その時には全く話に出てこなかったので、これを見たときの衝撃はかなりのものだったわけです。
調製はもちろんフタバ食品。掛け紙も昔のタイプに戻っていました。2005年11月末に黒磯駅から消えた駅弁でしたが、私も8年ぶりに食べることができて夢のようです。和洋中の寿司。焼き豚にチーズ、スモークサーモンの寿司には洋辛子がシャリとの間に塗られていました。
下は2013年10月13日、東北道の上河内SAで購入した「温泉とらふぐ弁当」1260円。これは2013年1月19日から土日祝日限定で売り出されました。調製はフタバ食品です。近くの那珂川町にある天然温泉の塩分濃度は1.2%で、海水の1/3の濃度でだそうですが、これがとらふぐの育成に最適なpHの水質でもあるそうなことから「海のない栃木県でも海産養殖ができる」と開発が進められてきたとか。
とらふぐのアラで炊き込んだご飯の上に、ゆずを練りこんだ西京味噌で焼き上げたふぐ、ふぐの皮の含め煮、ほぐし身、栃木県産ゆば、にんじん、しいたけ、錦糸玉子、木の芽、絹さやが載っています。
下は東北道上河内SA下り売店の様子です。売店の方の話によると、釜めしと九尾すしはほぼ同じ頃に復活したそうで、ちょうど私がここを訪れて嘆いた頃ですから、やはり先日の新聞の記述に誤りがあります。販売は土日祝日のみで、売店には午前10時頃から置かれるそうです。釜めしと九尾すしが12個、「温泉とらふぐ弁当」は6個置かれるとのことでした。もし2014年の京王駅弁大会でこの駅弁が輸送コーナーにあったら、きっと飛ぶように売れるでしょうね。
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