寒波の北海道駅弁旅 〜その1〜

2011年12月22日から26日までの4泊5日、「クリスマス寒波」と呼ばれた悪天候の中、我ながら交通マヒをうまくかいくぐって、なんとかほぼ予定通りに北海道を一周できました。中でも約30年ぶりに稚内駅に降り立てたことが一番感慨深い出来事です。

       

上の2枚は早朝のクリスマスイヴ、高架化が完成し、リニューアルした旭川駅の様子です。前日23日は旭川に宿泊し、翌朝9時の特急「スーパー宗谷」で稚内行きを予定していましたが、各地で遅延が多発。そこで大事を取って6時始発の普通に乗ることにしたのですが、これが功を奏しました。やはり特急は2時間も遅れて稚内に着き、実際に乗った帰りの特急「サロベツ」には接続できなかったからです。本当は帰路に留萌経由札幌行き高速バスに乗る予定でした。しかし、日本海側が猛吹雪のため、稚内に来るのにルートを変更して3時間遅れており、それを待っているとさらに3時間遅れて札幌に着く、つまり日付が変わってしまう事態でした。私の乗った旭川始発の普通列車は定刻通り稚内に着きましたので、稚内では2時間ほど余裕があり、最果ての北の町を少しは見ることもできました。

       

右上の列車が音威子府駅に着いたときには雪まみれでした。唯一の楽しみだった「音威子府そば」が休業日で少し落ち込んでしまいましたが、それでも定刻運行しているのは何物にも代え難いありがたさでした。下の2枚は長時間停車していた幌延駅の様子。クリスマスイヴにトナカイの里を訪れることができ、旅情が増しました。

       

そして、稚内駅に到着。「最南端から北へ伸びる線路はここが終点です。」と書かれた看板がありました。

      

上の写真を駅舎側からではなく、ホーム側から見ると下の写真のような感じです。ご覧の通り、駅舎は改築工事中で、まだその全容を現してはいません。ホームは片側1本のみの最果ての駅。「日本最北端の駅」と書かれた柱が旅情を誘います。

      

さて、早朝から駅弁にありついてませんし、駅弁を求めてさっそくキヨスクを探しますが、改築工事中の稚内駅のどこを探してもありません。観光案内所の方に伺うと、完成後もキヨスクはできないとのことでした。つまり、「さいほくかにめし」などで有名な稚内駅立売商会の駅弁は、販売場所を失うことになります。もっともJR北海道では駅売りはなくても、特急スーパー宗谷号には予約制で「最北駅弁ほたてめし」のワゴンサービスを継続しています。してみると、駅売りという意味では駅舎の中に間借りしていた食堂「ふじ田食堂」の駅弁に期待するしかありません。しかし、工事中でどこに移転したかもわかりません。前すらかすんでしまう猛吹雪の中、雪だるまみたいに真っ白になりながら、駅前をさまよい歩くことになりました。

      

すると、ふじ田食堂の仮店舗が見つかる前に、下のような「お弁当 かにめし 幕の内」と書かれた店を駅前ロータリーの真正面に発見。窓にはお弁当の写真も貼ってあり、これは入ってみる価値がありそうです。

      

店にはいると、30代風の、まだ若そうなご主人に迎えられました。持ち帰りのお弁当はできますかと聞くと、かにめしならすぐできますよ、と言われ、熱いお茶をすすりながら待っていると5分ほどで掛け紙付きの「かにめし」を缶のお茶付きで渡されました。「かにめし」1500円です。調製元は「ひとしの店」。

      

容器はプラスチック(HIPS)のよくあるタイプに透明蓋ですが、ご飯の上には味付けをしたカニのフレークがぎっしり載せられ、カニの棒肉が2つ。パセリを中央に配し、錦糸玉子と紅生姜で彩りも鮮やか。昆布の佃煮、胡瓜やキャベツの浅漬けと思われる香の物が添え物です。容器や全体の雰囲気から、なんか、30年前の昭和50年代に北海道の小駅で売られていた駅弁の雰囲気によく似ています。

      

カニはズワイではなく、たぶん見た感じだと花咲ガニだと思います。その味ですが、これがまあ何とも優しい味で、素朴さを前面に出し、なおかつ濃厚で贅沢なカニのほぐし身が敷きつめられているお弁当ですから、1500円も払っただけのことはあります。カニフレークは冷蔵庫から出していましたが、ごはんがホカホカですので、いい感じに温かくなって、列車の中で食べたらちょうどいい加減になっているだろうと思われました。

      

そして特急サロベツ(車内販売はなし)の車内に持ち込み、雄大な景色を見ながらいただくことにします。

      

悪天候で利尻富士は見えなかったものの、抜海あたりでは一瞬荒れ狂う日本海も見えました。しかし、シャツターチャンスは逃しました。それでも勇払原野を左右に、どこもかしこも真っ白な車窓を見ながらいただく稚内の「かにめし」は至高のひとときです。

     

次は、ふじ田食堂の特急積み込み駅弁をご紹介します。

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