島根だんだん駅弁旅 〜その5・終〜
「だんだん」とは島根弁で「ありがとう」を意味する方言だそうです。2007年6月28日、世界遺産登録が正式に決定した「石見銀山」。地元の大田市ではお祭り騒ぎです。実はそれを目指して2006年11月に販売開始した松江駅の駅弁「地サバすきやき(へか焼き)銀の鯖丼」がありました。販売開始から8ヶ月、今やその夢が叶って、まさに「だんだん」の駅弁となりました。
2007年7月30日、31日、松江駅で購入した「銀の鯖丼」950円。「へか焼き」と言われる、地鯖のすき焼き駅弁です。島根県太田市を中心に伝わる郷土料理「へか焼き」を駅弁にアレンジしたそうです。
以前はごはんの中に鯖が入っていたようですが、現在では切り身が上にど〜ん!
大和芋とタレをかけていただきます。大人の味です。クセになりそう!
赤来町の大和芋をかけ、さらにタレをかけるという食べ方により、すき焼きの味の濃さがマイルドになり、なおかつ粘り気が出て、何となくスタミナが付きそうな気がしてきます。
鯖の下にはすき焼き風に煮込まれた玉葱、もやしなどの野菜がたっぷり敷かれていて、鯖と一緒に食べると歯ごたえもよく、食感が豊かになります。少し苦めなところが大人の味でしょうか。
石見銀山は1526年に博多の商人によって開発されたと言われています。1943年に水害で坑道が水没するという大打撃を受け、完全閉山となりました。その約400年もの間採掘され続け、長きにわたって環境に配慮し、山を崩したり森林を伐採したりせず、狭い坑道を掘り進んで採掘するという方式が世界遺産として認めらる大きな要因になったということでした。
さて、「環境への配慮」いう言葉で思い出しましたが、松江駅弁の一文字家さんの駅弁容器は全国に先駆けて、全ての人に配慮した「ユニバーサルデザイン」を採用しています。箸・調味料ポケット、開封防止ロック、持ち上げ取っ手、点字表示など、すべての人の使いやすさを考えて開発したこの容器には、人に対する優しさと愛が溢れていると思います。
このように考えていくと、神話の国だけに、どこか神々しいというか、「だんだん(煖煖)」という島根人の周囲に対する思いやりの気持ちが感謝の心となって駅弁にも表れているのかもしれないと思えてきました。もちろん、イベント弁当注文が殺到してお忙しい中でこの「へか焼き」駅弁について優しく教えてくださった一文字家の専務さんにも「だんだん(島根弁で「ありがとう」の意味)」と申し上げたい気持ちになりました。
今回の旅を通して、少ない滞在期間にもかかわらず、あちらこちらで島根の方々の優しさにじゅうぶん触れることができました。本当に感謝しています。「だんだん(煖煖)」という言葉には、「煖炉の温かさ」というイメージも含まれると聞いたことがあります。「ありがとう」という言葉に心が温まるのは真実だと思います。神話から続く悠久の地に訪れ、時間や空間を超えて揺るぎなく残っていく何か大切なものに触れたような気持ちになりました。本当にありがとうございました。だんだん。
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