下は2010年2月25日、三島駅で購入した「伊豆龍馬飛翔会席膳」980円。この日から販売開始されました。2010年NHK大河ドラマ「龍馬伝」に因んだ駅弁と思われます。しかしなぜ伊豆に坂本龍馬の駅弁が、という疑問が生まれますね。

     

まずはそのあたりをこの駅弁のしおりでご説明しましょう。坂本龍馬と伊豆の関係は、下田の宝福寺での会談にあるとされています。1863年1月、土佐藩主、山内容堂を乗せた「大鵬丸」と、勝海舟の率いる幕船「順動丸」が嵐のため、共に下田港へ入港したそうです。この運命の嵐により、坂本龍馬脱藩赦免の鍵を握る山内容堂と、龍馬を自由の身にしたいと願う勝海舟が偶然にも下田で出会うこととなり、会談の結果、翌2月、謹慎後正式に脱藩は赦免され、龍馬は伊豆下田の宝福寺で、手かせ・足かせを振り払い、正に天馬となって飛翔したとされています。なお、翌年に池田屋事件で亡くなる数日前にも下田に立ち寄っています。

     

坂本龍馬と伊豆の関係がおわかりいただけましたでしょうか? では駅弁の中身を見てみましょう。扇と瓢箪の型に整えられたご飯もさることながら、生ワサビを添えられた金目鯛の酒蒸しがまず目に飛び込んできます。下は2010年6月20日に購入した時の(通算4つ目の)もの。

     

駅弁のしおりに書かれたお品書きを見てみましょう。「鰹の昆布巻き」は坂本龍馬の出身地である土佐のイメージすが、「海老のアメリカンソース」は「龍馬」と言うより「黒船」を想起させます。

     

献立について、駅弁のしおりに説明がありました。これを読むと、「船中八策」にちなんで献立を八品にしたことが伺えます。それどころか、容器が八角形なのも意味を持たせているような気さえしますね。龍馬は長崎から京都に向かう船の中でその「船中八策」と呼ばれる新国家建設の方針をまとめ、その多くは死後に実現されたそうです。この駅弁は龍馬の功績と勝海舟との師弟愛を讃え、金目鯛の酒蒸し、鰹の昆布巻き、海老のアメリカンソースの他には、野菜と伊勢海老の煮こごり、鶏のつくね焼きと玉子焼き、筍と蒟蒻と椎茸の土佐煮、里芋田楽、そして型取り御飯(瓢箪・扇)の八品が盛り込まれているのでした。

     

掛け紙は切り絵風で、下田の風景と坂本龍馬らしき人物が表現されています。白黒と赤の3色刷りですが、なかなか味があります。

     

坂本龍馬関連の駅弁は長崎、出水、高知、鹿児島中央に次いで三島が5番目ということになるのでしょうか? その後には広島県の三原でも売り出されたようです。下は2010年6月20日に購入した時の中身です。

     

下は2010年2月26日に購入した「伊豆龍馬飛翔会席膳」980円の中身です。金目鯛の酒蒸しがトロトロで、清酒「剣菱」そのものの香りがして本当に美味しかったです。鰹の昆布巻きも不意打ちの新鮮なお味でした。海老のアメリカンソースも美味。値段以上の価値があると思います。

     

駅弁のしおりには下田のマップが描かれていました。宝泉寺には飼育が難しいとされる「リョウマエビ」(イセエビに似た大型種)が展示されているそうです。地元の私もまだ見たことはありませんが、ぜひ下田においでください。

     

  東海の駅弁リストに戻る  トップページに戻る  

  坂本龍馬に因んだ高知の駅弁を見る

  坂本龍馬に因んだ長崎の駅弁を見る

  坂本龍馬に因んだ出水の駅弁を見る