2009年2月1日、小田原駅前の東口売店で予約して購入した「陸海ちゃん」840円。「りくみちゃん」と読みます。この日から販売開始された駅弁です。
これは小田原総合ビジネス高校、小田原城北工業高校、吉田島農林高校の3校と、地元の駅弁屋・東華軒との協働駅弁です。この3校は2004年度から小田原市内の商店街の空き店舗で、全国の農業高校や水産高校が作った缶詰やジュースなどを販売し、売り上げ増を目指すチャレンジショップ運営を行ってきたそうですが、東華軒の会長がこの店を訪れたことがきっかけで、高校生たちの感性を取り入れた新しい弁当をつくろうということになり、3校に対し、2006年秋にコラボを提案したというのがそもそもの始まりだそうです。
その出会いから足かけ3年での完成。上は2009年2月1日の小田原駅前東口売店の様子です。「陸海ちゃん」は一番目立つ場所に積まれていました。コラボ駅弁誕生を告げるパネルや新聞記事もお目見えです。
この駅弁をプロデュースするにあたり、総合ビジネス高校のマーケティング知識をもとに、売れている弁当の特徴などを検討した結果、女性をターゲットにした薄味の和風駅弁にしようと考えたそうです。健康食材を使って、しかも見た目が華やかな駅弁を開発することに決め、何度も試作を繰り返し、やっと2009年1月に完成したとか。掛け紙のイラストは城北工業高のデザイン技術を生かし、小田原城を中心にあしらわれています。毎年2月から開催される「梅まつり」に因んで小梅の絵をちりばめ、女子高生らしくかわいい仕上がりとなりました。
2段重ねの容器は食べた後にも配慮して、持ち運べるように工夫した結果とか。可愛らしいお品書きが付いています。その最後には「目的は様々でも、私たちを育んでくれた小田原の自然に目を向け、味覚でも楽しんでいただけたらと思います。生徒一同」と結ばれていました。
さて、中身を見てみましょう。下段のご飯重には吉田島農林高校の農薬を使わない「アイガモ農法」で栽培した米を使用(発売当初から約500個分だけ)し、春らしくタケノコご飯としています。また、上段には鯖の味噌煮や野菜と海老のテリーヌ、地元特産の梅ジャムを使ったパイなど、和食中心ながらも和洋折衷7品のおかずを詰め込んであります。
見た目も鮮やかにキマッています。山と海に囲まれた小田原のイメージから、生徒たちの投票で「陸海ちゃん」と名付け、さらに女子高生がプロデュースしたイメージを生かそうと「小田原小町」を駅弁名に冠したものと思われます。
鯖の味噌煮は柔らかくて冷めていても美味しく、見た目にも美味しい野菜と海老のテリーヌは、冷めているからこそ美味しい洋風の逸品です。また、ミートローフや玉子焼きにも一工夫がしてあり、どのおかずも栄養バランスを考えた上での食欲をそそる彩りとなっています。
小田原ではこの日より梅祭りが開催されていますが、それに合わせるかのように梅ジャムパイが入っているのが嬉しいです。ご飯を食べ終えた後の「あと一口」を十分に満足させるデザートでした。この駅弁は小田原駅だけでなく、国府津駅や箱根登山鉄道箱根湯本駅などでも売られています。左下の画像は箱根湯本駅売店、右下は小田原駅コンコース名産店売店の様子です。
最初は大学生との共同開発という感じで始まった学生とのコラボ駅弁ですが、最近では高校生との協働となるケースが全国的に増えてきました。この試みは若い人たちが駅弁を知り、地元に目を向ける良い機会だと思いますので、今後も広がっていくことを期待したいと思います。
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