房総駅弁の旅
〜その1〜
2009年8月8日、およそ30年ぶりに銚子電鉄に乗りました。2009年6月21日より土日限定20食で売り出されたこの駅弁。すぐにでも買い求めたいと思っていたのですが、訳あってこの日まで訪問するのを控えていました。
銚子電鉄は1923(大正12)年に銚子鉄道株式会社として営業開始以来、80年以上も地元の足として愛され走り続けてきました。しかし、1997(平成9)年に国からの地方中小民鉄の欠損補助金が打ち切られることになり、列車のワンマン化を図るなど、様々な利用増進・増収対策を実施するなどして懸命に経営努力を続けてきました。
1995(平成7)年、副業として犬吠駅で「ぬれ煎餅」の売店を開業したのもその一環で、今では鉄道事業収入よりも多く、これらの経営努力により、廃止の危機を乗り越えたかに見えました。
しかし、車両の老朽化が進み、多額の設備投資が必要となった矢先、2006(平成18)年には前社長が業務上横領の疑いで逮捕されてしまい、その借金も背負うことになって、いよいよ窮地に追い込まれました。車両の法定点検の費用もまかなえなくなり、銚子電鉄の公式サイトで「電車運行維持のために『ぬれ煎餅』を買ってください」という悲痛な叫びを目にしたときには、私もいたたまれない気持ちがしたものです。この悲痛な叫びの甲斐あって、瞬く間に全国に支援の輪が広がり、当時の資金難の危機は乗り越えました。
しかし、「銚電フィーバー」とも言えるこの一時的なブームでは、今後の経営の危機を乗り越えることはできません。「ぬれ煎餅」はそれなりに全国的な知名度を上げつつありますが、さらなる副収入増加と銚子電鉄へ客を招き入れる必要性から、この駅弁販売もその1つの方法として浮上したのでしょう。
2009年6月11日にリリースされた駅弁販売のニュースを聞き、私は少しでも銚子電鉄のお役に立ちたいと考え、駅弁サイトを運営していることも珍しく予め告げて、すぐに訪問をしたいと銚子電鉄の担当者に話しました。すると、何度も経営危機を乗り越えてきたからでしょうか、販売当初は注目されるので売れ行きも良いが、その熱が冷めてきた時にこそ応援をしていただきたい、という趣旨の、非常に胸に迫るご回答をいただきました。そこで、来て欲しくなった頃に連絡してください、と告げて、今まで連絡を待っていたのでした。
2009年8月3日夕方、その知らせはやってきました。土日祝日のみ10時より20個限定で販売し、初日は特別に70個を作っても1時間足らずで売れたほどの好調さを示したとは言え、次第に売れ行きが伸び悩んでしまったようです。また、最初は調製元の寿司屋さんで手作りしていた「さんまかば焼ずし」の掛け紙が8月1日より正式なものとしてリニューアルしたので、ぜひいらしてください、とのことでした。そこで、次の週末となる8月8日に訪れることをお約束しました。なお、担当者とはいろいろとお話もしたかったのですが、実際にはお会いしていません。
上の掛け紙が最初のパソコン手作りタイプのもの。調製元の喜可久寿司さんの御厚意で撮影させていただきました。そして、8月1日からは下の画像のように「六両編成」の文字が加えられ、しっかりした印刷のものになりました。
下は2009年8月8日、銚子電鉄犬吠駅で購入した「さんまかば焼ずし」780円。6カン入り。今回は2つ購入しました。東京駅から特急「しおさい1号」で銚子まで来て、販売開始の10時に間に合うように犬吠駅へ9時57分に到着したのですが、たくさん降客があった割には、私以外の購入客はありませんでした。残念なことです。
蒲焼きと言うほどタレの味が染みこんでいるわけではない、どちらかというと普通の「焼き鯖寿司」タイプに近いです。それだけに秋刀魚の風味が生きており、身も肉厚で柔らかく、美味しいです。わさび葉がシャリに混ざっているのでピリリとして夏にはもってこいの寿司。菜の花をイメージした錦糸玉子が挟まれています。寿司屋が作る寿司ですから、美味しくないはずはありません。付け合わせは菜の花のおひたし。
秋になって銚子港での本格的な秋刀魚水揚げが始まると、もっと脂ののった秋刀魚が賞味できるのでしょう。せっかくですので外川駅まで行きました。レトロな雰囲気が漂い、懐かしい気分にさせてくれます。今回は「ぶらり旅」な割には観光地を訪れてはいませんが、次に来るときには犬吠埼の灯台などはしっかり訪れてみたいです。
再び犬吠駅です。銚子電鉄グッズがひしめく駅舎内。「さんまかば焼ずし」は「濡れ煎餅」実演のすぐ横で売られています。この日は全部売れたのでしょうか。不安が残ります。
「さんまかば焼ずし」のポスターは各駅に貼られていましたが、2009年8月9日現在、公式サイトには何の告知もないというのが残念。せめてウェブ上で公式の記述があれば広く知られ、売り上げもアップすると思うのですが。。。銚子電鉄に期待します。きっと載せてくれるはずです。
銚子電鉄には「桃太郎電鉄」のラッピング車両も走っています。いろんなところから愛され、支援されている鉄道なのだと実感しました。
それがこの車両です。1994(平成6)年、営団地下鉄から譲り受けた銀座線の車両を、1両約3千5百万円をかけて改造したワンマン車両だそうです。銚子電鉄にはこの他にも伊予鉄道や上田交通、近江鉄道などから来た味のある電車が走っています。
地元の人たちはもちろんですが、全国の鉄道ファンをはじめ、これからもみんなで銚子電鉄を応援して、存続に貢献したいものです。銚子電鉄の公式サイトは
こちら
。
トップページへ戻る
関東の駅弁リストへ戻る
駅弁行脚のインデックスページに戻る
セブンイレブンで発売された「銚子電鉄弁当」を見る
[PR]
ポイントサイト
さらにこの旅を続ける
[PR]
航空券