寒波の北海道駅弁旅 〜その8〜

2011年12月22日から26日までの4泊5日、「クリスマス寒波」と呼ばれた悪天候の中、我ながら交通マヒをうまくかいくぐって、なんとかほぼ予定通りに北海道を一周。12月24日は長万部駅前のかにめし本舗かなやで初めて見る駅弁を購入しました。

   

2011年12月24日は小樽から函館本線の倶知安経由で長万部入りしました。いわゆる「山線」を30年以上ぶりに走破したことになります。

    

銀山や蘭越あたりは雪がかなり積もっていました。しかし、天候には恵まれ、遅れることなく旅が出来たのはラッキーでした。「倶知安」や「長万部」はもちろん、途中、「ニセコ」「昆布」「二股」など、ユニークな駅名が幾つも出てきます。

    

長万部駅に降り立って駅の外出たのもずいぶんと久し振り。たぶん中学生以来だと思います。駅前の信号を渡って左に行くと、すぐにかにめし本舗かなやが見えてきます。

     

今回は事前予約の段階で「いなりかにめし弁当」945円というのがあると知り、それが食べたくて取り置きしてもらっていました。掛け紙は「かにめし」と共通のようです。昔は北海道でもよく見られた「みそ汁」105円もあったので、それも一緒に買い求めます。

    

初めて長万部駅で「かにめし」を食べたのは1973年。この時はたぶん毛ガニを使用していたと思います。ある意味でしっとりとしてカニ臭かったと記憶しているのですが、毛ガニはその後、価格が高騰してなかなか手に入らなくなったとのことで、それが数年前に食べたときにはズワイガニとなり、ふわっとした食感に変わっていました。今回もその「ふわっと」感があります。

    

ここでちょっと話をそらします。毛ガニの話です。実は数年前、毛ガニの駅弁が復活したのです。2012年1月現在では終売してしまいましたが、2007年9月9日、通信販売で購入した「毛がに寿司」を以下に紹介します。本来は1575円ですが、楽天ショップ開店セールにて特別価格1300円で購入。(残念ながら現在は楽天ショップからも撤退しているようです。)

   
   

この時は冷凍パックで送られてきました。冷凍しておけば賞味期限は3ヶ月近くいけます。箱から取りだして、袋のまま開封しないで電子レンジ(500W)で4分ほど温めました。あとは封を切って暫く冷まします。下の画像は加熱する前の、冷凍で送られてきた状態のものです。

   

温めて冷ましたあとの様子です。人肌ぐらいになったら食べ頃だとのことです。

   

シャリの上に毛ガニの棒肉が載せられ、さらにその上には薄板昆布。いわゆる押し寿司です。8カンに切り分けられていますが、美味しそうだったので下の画像では撮影する前に1カンつまみ食いしてしまいました。電子レンジで温めてから人肌に冷ますと、シャリもモチモチして出来立ての寿司のように思ってしまいます。

   

口に頬張った瞬間、「あっ! これだっ!」と思いました。忘れもしない1973年、中学1年の夏でした。親戚のある室蘭から蒸気機関車と気動車を乗り継いで長万部駅に初めて下車したとき、食べた「かにめし」の「毛ガニ」の味です。親戚の家からよく毛ガニを送ってもらっていたし、間違いありません。最近は食べることがなくなってしまった、とても懐かしい味でした。

   

毛ガニは濃厚なミソに注目が行きがちですが、肉の旨さもカニのエキスが詰まった感じで私はとても好きです。殻から身をとるのが大変じゃなければタラバよりも好きといっても過言ではありません。その引き締まった棒肉をたっぷり使用しているのだから不味いわけはありません。

   

しかも、シャリにもカニの味がするなと思ったら、よく見ると剥き身が混ざっているではありませんか! モチモチのシャリの中にも上にも毛ガニ。。。これはとっても贅沢な毛ガニ棒寿司と言えます。毛ガニで名を馳せてきた調製元である「かなや」さんの意地の逸品ですね、これは。

   

下は長万部駅前にある「かなや」さんの駅弁販売所です。2007年8月7日、砂丘の白兎さんが撮影しました。このときは「かにめし」を2つ平らげたそうです。

   

下は「毛がに寿司」の掛け紙です。事前予約限定でも良いので通販だけでなく、ぜひ長万部駅でも売って欲しいと思います。(2012年1月現在では終売しています。残念。)

今から40年近く前の1973年、長万部駅で食べた毛ガニの味がとても鮮烈だったからこそ、食べてみて「あっ! これだっ!」と思える自分がいました。そして、そう思ったのは私だけじゃないと確信できます。現在売られている「かにめし」のカニを100%毛ガニにしたら、きっと「あっ! これだっ!」とうなる人が出てくるんだと思います。「毛がにめし」という名前にして、いつか販売して欲しいなあと強く期待しています。

   

と言うわけで、「ちょっと」と言いつつ、かなり長く話をそらしてしまいました。ここからは2011年12月24日の話です。この日はかにめし本舗かなやの専務さんと少しの間お話ししたのですが、毛ガニは現在でも価格が高いとのことで、やはり特有の臭みがあるのだそうです。しかし、将来的に新幹線が札幌まで延伸すると、長万部の町には再び活気が戻ってくる可能性もあり、その時に備えて昔その名を轟かせた長万部の毛ガニを用いた駅弁を復活させる気持ちもなくはないとのことでした。毛ガニの話はこれくらいにして、以下は「いなりかにめし弁当」の話に戻します。

   

真ん中に香の物とみかん、そして、かにめし本舗かなやオリジナルの佃煮「おしゃまんべ物語」を置き、その左右に通常のかにめしといなり寿司3個を配したのがこの駅弁です。どちらかというと団体客のためのお弁当とのことですが、公式サイトでは「駅弁」のグループに入っており、事前予約することで1個からでも購入が出来るとのことでした。

   

1時間ほど滞在した長万部駅をあとにした私は、特急スーパー北斗に乗り込みました。この旅も、そろそろ終わりを迎えようとしています。

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