雪なし山陰駅弁旅 〜その3〜

2011年2月19日から1泊、雪のない山陰を旅しました。松江から米子に向かう車窓からは雪の積もった大山(だいせん)が見えてきます。「伯耆富士」と呼ばれるだけあって、形の良い山です。その麓の米子駅で名物駅弁「大山おこわ」をいただきました。

    

上と下は2011年2月20日、米子駅で購入した「大山おこわ」840円。上の画像は駅前ロータリーのSL像をバックに撮影しました。

    

もともと大山の山麓の村では、秋口から春の訪れを告げる頃まで、キノコや栗、山菜、鶏肉などの具を味付けして餅米と混ぜ、それを蒸し上げたおこわを食べているそうで、それが「大山おこわ」です。駅弁の「大山おこわ」には鶏肉は入っていませんが、キノコや栗をメインに、人参が彩りを添えています。牛蒡、小豆も入っています。香の物には奈良漬け。

    

「大山おこわ」の起源ですが、平安末期の大山寺僧兵の非常食だったそうです。現在ではこの地方のお祝い事やお祭りに「味こわめし」と呼んで愛用されているとのことです。

    

下の駅弁「大山おこわ」はaqualissさんが購入したものです。この地方に古くから伝わる郷土料理を駅弁にしたもの。もち米に鶏肉、人参、牛蒡、椎茸、栗を混ぜて炊き込んだ五目おこわです。以下はコメント。
「2003年6月7日 購入。ふと思い立って米子までぷち旅。理由は、キハ58・28系使用の『とっとりライナー』に長いこと乗っていたかった、ただそれだけ。そんな目的を遂行して米子に到着した際、いつもなら駅の玉子うどんをすするところ(「かにちらし」「牛べん」「吾左衛門寿司 蟹」などは収集済)だが、あまり見かけない(午後には売り切れていることが多い)「大山おこわ」を見かけたので入手。中身はシンプルなおこわで、別に香の物が付いていた(今時「香の物」の掛紙は珍しい)。ちなみに、境港までの行って来いに乗車した汽車は、行きがキハ33-1002で帰りがキハ33-1001だった。現在は定期運用から外されているらしいこのキハ33、50系客車から改造されたたった2両の希少かつ珍車種系列。」

  

下は2008年10月4日、砂丘の白兎さんのお友達が購入した「大山もみじ弁当」。これは「大山おこわ」のおかず入りバージョンとでも言うべきもの。貴重な画像どうもありがとうございました。以下はコメントです。

    

「価格は1000円。 調製は、言うまでもなく米吾さんです。 大山おこわを中心に、長芋煮,茄子田楽,天ぷら,胡麻団子,ローストビーフが入っております。 デザートには梨というのが鳥取らしいかな?」

    

米吾には他にも美味しいおこわがあります。下は2006年10月7日、松江駅で購入した「赤貝おこわ」。

    

地味で素朴ですが、ゴマや青のりがふりかけてあり、飽きないおいしさのおこわ。

    

出雲神話で大国主命を救ったと言われる赤貝を、八俣大蛇を酔わせたという地伝酒(旨酒)で炊き込んだということです。

    

下は2009年1月18日、京王駅弁大会で購入した「赤貝めし」。900円。実演販売でした。

    

パッケージの裏に「赤貝めしの由来」が書かれています。神代の昔、美しい八上姫(やかみひめ)のハートを射止めたことで、兄弟神に妬まれ殺された大国主命(おおくにぬしのみこと)を可哀想に思った母神が、天上から赤貝姫(きさかひめ)と浅蜊姫(うむかひめ)を遣わして生き返らせた、という神話が伝えるように、出雲地方の中海には昔から赤貝(やアサリ)が豊富にあるそうです。また、出雲地方には太古より「地伝酒」という珍しい酒が醸造され、これは八岐大蛇(やまたのおろち)が須佐之男命(すさのおのみこと)に飲まされて酔い、退治された「八塩折酒(やしおおりのさけ)」のことだと伝えられているそうです。つまり、昔から出雲の人たちに親しまれてきた赤貝と調味酒との絶妙な相性が感じられる伝統的で素朴な郷土の味、それが「赤貝めし」だということです。

    

使用されているのは別名「小赤」と呼ばれるサルボウ貝。厳密には「赤貝」ではありません。しかし、生物学的に大差はなく、殻に放射状に走る隆起した筋が赤貝は43本前後、サルボウ貝は33本前後と言うことで、サルボウ貝の方が小振りだそうです。味は赤貝にひけをとらないので、大抵は「赤貝」として売られるとのことです。おかずに昆布巻き、玉子焼きなど。

    

「赤貝おこわ」ばかり詳しく書いてしまいましたが、2011年2月20日の「大山おこわ」の話に戻します。実は最後の1個でした。それまでに2回フラれていたので、やっと手に出来て嬉しさ100倍。

    

米子駅からは境港駅まで「ゲゲゲの鬼太郎」に因んだ列車が走っており、この日も往復してきました。

    

しかし、その様子は今回は割愛。駅弁行脚としてはさらに特急を使って東へと進んでゆきます。

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