ありがとう小郡駅弁当

新山口駅弁の小郡駅弁当が2015年4月末をもって新山口駅弁から撤退するというニュースがリリースされる4日前、山陽新幹線全線開業40周年記念キャンペーンの旅で博多へ行き、新山口駅にも立ち寄りました。今思えば虫の知らせだったのか、売店に並ぶ駅弁を見て無性に買いたくなり、当初の予定になかった駅弁までいくつも購入しました。今回はそれらの駅弁を紹介することで、小郡駅弁当にお別れを告げたいと思います。

     

上と下は2015年4月5日、新山口駅新幹線改札内キヨスクの駅弁ワゴンで購入した新山口駅「かしわめし」800円。小郡駅弁と言えば、やはりこれです。

     

小郡駅弁当は1910(明治43)年、「かしべ」として駅弁を販売開始しました。そして1960(昭和35)年、後の代表駅弁となる「かしわめし」を販売開始したのです。山口県産米ひのひかりを使用し、鶏そぼろに刻み海苔、玉子そぼろという九州スタイルのかしわめしですが、味はちょっと甘くてあっさり系でしょうか。

     

下は2015年4月5日、新山口駅新幹線改札内キヨスクの駅弁ワゴンで購入した新山口駅「あなご飯」980円。これはもともと徳山駅弁当の看板商品でした。

     

2010年4月、徳山駅弁当は小郡駅弁当の子会社となり、7月には吸収合併されました。そして、いったんは消えた徳山駅「あなご飯」を小郡駅弁当は存続させ、駅弁文化の担い手としても頑張っていました。しかし、徳山駅での駅弁需要がなくなり、最終的には新山口駅での販売となってしまいました。

     

あくまでも個人的な印象ですが、徳山駅弁当時代の「あなご飯」は小骨が気になることが多かったです。しかし、小郡駅弁当になってから、改善されたような気がします。今回のも新幹線車内で美味しくいただきました。山陽スタイルのこのような穴子めしが山口県から消えてしまうのは残念でなりません。

     

続いて、「ふく寿司」870円。2015年4月5日、新山口駅新幹線改札内キヨスクの駅弁ワゴンで購入しました。こちらは下関駅弁当の看板駅弁でした。

     

徳山駅弁当と一緒で2010年に吸収合併されましたが、土日祝日限定とはいえ、新下関駅と下関駅でも売られていました。なんと言っても日本初のふぐ駅弁を作った下関駅弁当の文化を引き継いでくれていたというのは非常に価値がありました。

     

白サバふく、ふぐ皮、中華わかめ、うにくらげ、トビッコ、桜でんぶ、エビなどの海鮮ちらし駅弁です。脇役とも言える椎茸煮や錦糸玉子も美味しいです。山陽新幹線全線開業40周年記念キャンペーン駅弁でもあり、スクラッチカードがついていました。

     

次に、同じく山陽新幹線全線開業40周年記念キャンペーン駅弁でもある「薩長同盟 長州さくら弁当」980円。これも2015年4月5日、新山口駅新幹線改札内キヨスクの駅弁ワゴンで購入しました。

     

九州新幹線鹿児島ルートが全線開業した2011(平成23)年3月より販売開始されました。この新幹線の開業で薩長同盟と言われた鹿児島と山口が近くなり、明治維新の原動力となったように、今後も新たな結びつきを期待して、鹿児島と山口の名物を入れた弁当に仕上がりました。

     

山口のふぐ、鹿児島の黒豚はもちろん、さつまあげ、鯨の竜田揚げなどの名物、さらにかまぼこ、玉子焼き、えび、かつお梅などが入り、にぎやかな駅弁となりました。

     

最後に、下は2015年4月5日、新山口駅新幹線改札内キヨスクの駅弁ワゴンで購入した「ほかほか瓦そば弁当」1000円。2014年8月15日より山口県下関の郷土料理(熱した瓦の上に茶そばと具を乗せた料理である「瓦そば」)をイメージして新発売されました。

     

小郡駅弁当の中では水害から山口線が復旧したことを祝した「SL旅浪漫弁当」と並んで、一番新しい駅弁の一つです。純粋に、茶そばの駅弁ですが、温めていただくというところがユニークです。

     

まずは温めてからめんつゆともみじおろしをかけていただくのですが、甘辛の牛肉しぐれ煮と錦糸玉子がなかなかの相性です。レモンを搾ることで味に爽やかさが増します。駅弁マークが付いている駅弁なので、麺類のみではなく、ごはんも入っているのかと探しましたが、麺類だけで許可された駅弁でした。

     

ということで、小郡駅弁当は2015年4月30日をもって駅弁から撤退し、仕出し弁当やANAファーストクラスの供食もやめ、8店舗ある駅そば店の営業のみとなるようです。2010年に徳山駅弁当と下関駅弁当とを吸収合併し、有名駅弁と言われてきた下関駅「ふく寿司」や徳山駅「あなご飯」を存続させ、駅弁文化の担い手としても頑張っていたことは先述したように本当に素晴らしいことでした。それだけに残念ではありますが、駅弁のひとつの時代を築いたことは確かでした。

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