伊豆縦貫駅弁行脚
〜その3〜
2008年2月24日、一足早い春を迎えた南伊豆から雪の残る天城峠を越えて修善寺駅まで来ました。この駅には有名な駅弁
「あじ寿司」
がありますが、実はもう一つのレアで幻な「あじ寿司」があります。でも、いつ売られるとも限りません。購入するには至難の業でありながら、しかし、ぜひ一度は食べて欲しい、そんな駅弁を今回は紹介します。
2008年2月24日、修善寺駅でたまたま運良く購入した「にぎりあじ寿司」。1000円。にぎり寿司にするのに手頃な鯵を仕入れた時のみの販売ということで、駅弁ファンにとっては何とも悩ましい、レアで「幻」な駅弁です。この日は本当にたまたま売られていました。地元民の私ですら、見たのは5回くらい、購入したのは4年ぶり2回目です。
何の変哲もない、半分に切られた寿司屋の包装紙にくるまれているだけの体裁です。しかし、開けてみると新鮮そうなツヤツヤの鯵寿司が5カン。これは旨そうです。
調製元は修善寺駅前にある「舞寿し」(不二家レストランと同居)で、この店は私の高校時代の同級生が経営しているわけですが、この寿司はそんじょそこらの握り寿司とは違って、しっかりと「いい仕事」しているのです。
まず、外国産や地方産、地元養殖モノの鯵は使用しません。伊豆近海で朝あがった天然の新鮮な鰺しか使わないのです。それを軽く酢じめし、一晩寝かせ、握る直前に皮を剥がします。シャリとの間には天城産の生ワサビ、何とも良い香りで鼻をくすぐる桜葉、そして針生姜が仕込まれています。下の画像は醤油を垂らしてみたところ。醤油はかけなくても鯵自体にほんのりとした甘酢の味は付いているので、むしろ醤油はかけなくても良いかもしれません。とにかく旨いです。
ここで、過去に購入できたもの(たった1回きり)を紹介しましょう。下は2004年4月25日購入の「にぎりあじ寿司」。1000円。
2003年の8月、たまたまこれが売っていて薦められたにもかかわらず、その時に買いませんでした。以来、何度となく購入を試みたものの買うことができず、仕方がないので2004年3月に調製元である「舞寿し」さん0558−72−2416に直接電話して、作るときには連絡して欲しいと頼んでおきました。そして、1ヶ月ほど経ってやっと手に入れることができたのです。
この「にぎりあじ寿司」は掛け紙こそ簡易包装で残念ですが、とても実力のある駅弁だと思いました。酢でしめたあじの切り身の下に桜葉の塩漬けが敷かれ、これが風味を醸し出しています。問題は、手頃な鯵を仕入れた時のみの販売ということであり、いつ売っているのか分からないと言うことだけです。次はいつ売り出すのか、誰もわかりません。まさに「幻の駅弁」だと言えそうです。
と言うことで、2004年に購入したものと2008年に購入したものとで、やっと包装紙が左右1枚分となりました。皆さんも運が良ければ「幻」の「にぎりあじ寿司」を食べることができます。そして、その勢いで、修善寺から電車で10分ほど北上した伊豆長岡駅でも、今や入手困難となったレアな駅弁を手に入れてみましょう。
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