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※最近どんどん増えている過熱式駅弁容器。これによって私たちはいつでも温かい駅弁を食べることができます。では、この過熱式容器とは、どのようなしくみなのでしょうか? 調べてみましょう。

[注意]このページでは、本来分解してはいけないはずの過熱式の駅弁容器を分解していますが、それは駅弁学習の一環として、教育的な必要性から特別に配慮したうえで、やむなく分解したり、実験したりしているだけです。したがって、児童・生徒の皆さんは絶対にまねをしないでください。なお、学校の授業で実験する場合には、先生の指示に従ってください。よろしくお願いします。


過熱式の駅弁容器をよく見てみましょう。おそらく側面に「召し上がり方」として、過熱式容器の使い方が書かれていると思います。

平らな場所でひもを引くことで、発熱し、駅弁が温まるわけですが、それは「発熱パック」の中にある粒子が発熱するということのようです。そして、それは化学反応によるものらしいということがわかります。蒸気が出て、8分〜10分すると駅弁は出来たての温かさになるということです。

発熱パックの中には「水袋」が入っているようですね。ひもを引くことで「水袋」が破れ、発熱パックの中にある粒子と化学反応を起こして発熱するようです。

実際にひもを引っぱってみると、すぐにシューッという音がして、容器の中で水蒸気が発生しているような雰囲気が伝わってきます。ちなみに引っぱっているのは保育園児の息子。

最近の新しい過熱容器のタイプでは安全性をより高めるために、発熱パックと中身の容器を一体化させており、事故を防ぐため、駅弁容器を簡単には分解できないように工夫されているようです。

比較的古いタイプの過熱式駅弁容器はすぐに発熱パック(発熱ユニット)を取り出せるようになっていました。今回はこれを用いて分解し、実験してみましょう。発熱後は「消石灰」となり、肥料などに再利用できるそうです。

一見すると真空パックのごはんみたいでした。振ると、シャリシャリという固体が入っている音がします。逆に、水が入っているような音はしません。

上の蓋をどんどんはがしていきます。中には白い石のようなものと、水の入った袋が見えます。ひもは水の袋についており、引っぱることで袋が破け、水が流れ出て、この石と化学反応を起こすようでした。

それでは実験を開始します。蓋を取ってしまったのでひもを引っぱることはできません。そこで、ハサミを用意して、袋を破ってみることにしました。

水の入った袋をハサミで切ったところ、中の水が流れ出て、シューッという激しい音を立てながら、白い石と反応していきます。ブクブクとアワを出しながら、まるで沸騰しているかのようです。水蒸気もたくさん出てきました。発熱しているというのがよく分かります。

反応がすべて終わると、熱も冷めてきたようです。心なしか白い石の色が少しくすんだように見えます。回りには水滴がたくさんついていました。
実は、この白い石は「酸化カルシウム(生石灰)」と言い、化学式では「 CaO 」です。つまり、石灰だったわけです。よく食品の「食べるな(タベルナ)」と書いてある乾燥剤としても使われています。その生石灰に水を加えると激しい発熱をするという性質があるようで、その化学反応の結果、「水酸化カルシウム(消石灰)」、化学式では「 Ca(OH)2」 という物質になったということなのです。よく家でお父さんが飲んでいる「熱燗(あつかん)になるお酒」も、これと同じ原理です。

ちなみに、この時の化学反応式は、CaO+H2O→Ca(OH)2 です。

「水酸化カルシウム(消石灰)」などというと、あまりなじみがない名前のように思われがちですが、実はコレ、校庭に引くライン引きの石灰のことです。そう考えると、水酸化カルシウムも身近に感じられるはずですね。

こういうわけで、いつも温かい駅弁が食べられるのです。下の写真は仙台駅「牛たん弁当」。

             



※1.お父さんの飲む「熱燗(あつかん)になるお酒」について、比熱を1と仮定して、以下のことを計算してみよう。
 仮に5℃のお酒250mが45℃に温度上昇したとすると、お酒が吸収した熱量は何calとなるだろうか?
 

※2.使い捨てカイロが熱くなるのはどうしてだろうか? 過熱式駅弁と同じ原理だろうか? 調べてみよう。



※1.の答え   (45-5)×250=10000cal   これは大人が3分間ラジオ体操して消費する運動エネルギーとほぼ同じです。

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