下は2011年11月12日、浜松駅で購入した「三四郎御辨當」1000円。2011年9月13日から売られた浜松駅の新作駅弁です。

      

浜松駅弁の自笑亭が夏目漱石の小説「三四郎」に出てくる東海道線浜松駅で食べた駅弁を復活させようと計画していると知ったのは2007年10月。当時の9代目山本社長自ら指揮を執っていたということで、2007年に生誕140年を迎えている夏目漱石記念の年に間に合うかが注目でした。私は絶版になっている藤森清著「漱石のレシピ 三四郎の駅弁」(講談社+α新書)という本を持っていたので、自笑亭さんに一応お伝えしたのですが、当然のことながら、すでに知っておられるということで、この駅弁ができるのを心待ちにしていました。

      

夏目漱石の生誕140年には間に合いませんでしたが、10代目の若き女社長さんのもとでついに2011年9月13日から発売されることになりました。ちょうどこの年は浜松市制100周年にあたる年。それを記念した駅弁もありますので、後ほど紹介いたします。

      

さっそく開けてみることにしましょう。お品書きが入っています。折り箱は総経木折のようです。シートまで経木。なかなか凝っています。

      

下はOP室のお仕事さんが2011年9月23日に購入したとみられる「三四郎御辨當」1000円のお品書き。小説「三四郎」の中で主人公の小川三四郎が乗った汽車が浜松駅で長く停車したために買った駅弁を再現しようとして、明治38年11月に発行された「食道楽」の内容を再現しようとしたのだそうです。

            

下もOP室のお仕事さんが購入された時の駅弁の外観です。余談ですが、小説「三四郎」の中には三四郎が上京する際、京都に着く前に買った駅弁を車内で食べて、走行中に弁当の殻を窓から投げ捨てるというシーンがあります。しかしながら逆風で煽られて蓋が窓から顔を出していた女の額にぶつかってしまったようで、三四郎は「御免なさい」と謝ります。当時の駅弁掛け紙にはよく「窓の外に弁当の殻を投げないでください」という記述があり、現代のマナーからすれば当然で、なぜ書かれていたのか疑問だったのですが、こういう不作法は当時の小説にも出てくるくらいに頻繁にあったのでしょうか。

            

下もOP室のお仕事さんが購入された時の駅弁の中身です。今のようにバランもない時代なので、おかずが重ねて入れられています。焼き魚が鰻だというのがさすがは浜松。

     

下は2011年11月12日、浜松駅で購入した「三四郎御辨當」の中身。明治38年11月に発行された「食道楽」によると、浜松駅の駅弁は「細鰻、蒲鉾、河魚佃煮、蓮、椎茸を副食とし一寸体裁も佳く先づ普通上等の部類なり」と評価されているようで、それを再現し、玉子焼きや人参、がんも、たくあんなどを加えたのだそうです。

     

鰻の下に蒲鉾が隠れてしまっていますが、食紅を使わずに昔ながらの焼き風味の蒲鉾でした。野菜の煮物や卵焼き、たくあんなど、大きめに切ってあるのも昔風なのでしょうか。

     

下は上の駅弁とある程度は同じ内容のおかずが入っていたと思われる古い掛け紙です。午前9時としかわかりませんが、戦前の昭和初期であろうと思われます。

              

下は大正時代後期のものと思われます。五社神社に八幡宮という市内の名所が描かれています。「上等御辨當」と書かれている場合、ご飯とおかずに分かれた2段弁当を意味します。

              

2011年は市制100周年ということですが、特に政令都市になってから目まぐるしく変貌を遂げる浜松市。左下は2011年11月にオープンしたばかりの遠鉄百貨店新館。窓ガラスにアクトシティーが映し出されていますね。奥には高架化した遠鉄の新浜松駅があります。右下は新幹線コンコースにあるピアノの展示。浜松は楽器の街でもあります。私が最初に浜松駅に降り立ったのは中学3年生の時ですが、まだ高架化前で駅舎は古く、駅前正面にあった遠鉄の駅も馬込でスイッチバックしている時代でした。

    

次に2011年8月21日、浜松駅で購入した「浜松市制100周年弁当」1000円を紹介します。

     

浜松市が2011年7月に市制100周年を迎えたと言うことで、それを記念して2012年3月末まで1日50個程度売られているという駅弁です。6月26日より1日50個程度、2012年3月末まで販売し、売れた弁当1個当たり50円を東日本大震災の被災地に義援金として寄付するそうです。内容はしらすコロッケ、ふぐの天ぷら、海老黄身焼、あさり煮、うなぎ御飯おにぎり、みかん御飯おにぎりなど。

     

おにぎり4種のうち、抹茶の粉で炊き込んだ茶飯、青島みかんの絞り汁で炊き込んだみかん御飯、そして名物のうなぎ御飯がポイントでしょうか。おかずもしらすコロッケ、ふぐの天ぷら、あさり煮と浜松らしさを演出。肉団子と桜シュウマイは今や自笑亭の看板おかずですね。

     

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