2004年11月5日購入。
実に13年間の沈黙を破って園部駅の「松茸めし」が復活しました!! 21世紀初登場です!!
1991年にすでにメディアからは「幻の駅弁」として紹介され、その時は話題性もあっていくつか販売されたものの、それ以来は本当に「幻の駅弁」になってしまい、2度と駅売りされることはありませんでした。これは、地元・丹波産の松茸が十分に採れないため、松茸の価格がべらぼうに高騰してしまい、とても駅弁として売り出せる常識的な価格では提供できないと、淡路屋のご主人である三村さんが判断していたためです。
その昔、「松茸めし」をごく普通に作っていたときには1s数千円で仕入れた松茸が、ここ10年来はずっと10倍以上になってしまっているというのであれば、常識的な価格で駅弁を作れないことは火を見るより明らかでした。
しかし、2004年の秋は全国的に松茸がよく採れる年にあたり、全国屈指の高級ブランドである「丹波産松茸」の価格も安定していました。そこで、時価という条件と、5個以上からの注文という条件付きながら、13年ぶりに販売することができたのです。
9月初旬に問い合わせたときには、1個3000円を超えてしまう可能性があり、駅弁として販売するのには高すぎるという三村さんのお気持ちもあって、販売に踏み切るのを抑えていた感がありました。しかし、その後ある雑誌社からの問い合わせがあったようで、検討の結果、とりあえず時価で5個以上の限定注文製造という企画を立ち上げることになったそうです。
そして10月となり、チャンスは巡ってきました。三村さんから松茸の価格が安定してきており、数がまとまれば販売可能、ただし時価です、との連絡をいただき、職場で声をかけたところ、「丹波産松茸」のネームバリューで、あっという間に17個の注文がまとまりました。私は「もしかすると1個4000円くらいになるかも」と脅しながら同僚達に声をかけたのですが、本物を食べたい、という思いが同僚には強かったのが幸いしました。
10月30日、思いがけずも今なら1個2000円で販売可能というお返事をいただき、あとはいつ、どのような方法で送るかということになりました。こちらとしては御飯がかたくなるクール便は避けたかったのですが、調製元のお立場もあり、難しい問題でした。また、最初は11月2日に到着予定でしたが長雨が続いて松茸の質が低下し、三村さんの納得のいく松茸がなかったということで、何度かお互いにやりとりをした後、ついにこれを書いている11月5日の本日、念願の「松茸めし」が到着したのでした。
「松茸めし」は4日の夜に発送し、5日の昼までに賞味するとしたことでクール便での発送は避けられ、しかも1個1個丁寧にラップで包んであったことで、松茸の香りがほぼ完璧に保たれて届けられました。
今回ラッキーにも賞味できた園部駅の「松茸めし」は、次にいつ食べられるのかはわかりません。また「幻の駅弁」としてお蔵入りになってしまうことも十分に考えられます。しかし、三村さんご自身が納得のいく「松茸めし」を作るためには、仕方がないことなのだとも思います。
「輸入物を使えばもっともっと安く、しかも毎年たくさん作れますよ。でも、うちの看板がありますからね。無添加の自家製で、松茸も地物の本物しか使いません。かといって、価格が高すぎてはもう駅弁じゃない。これは私の意地ですよ。今まで作らなかったのもそういう意地からなんです。」
電話口の向こうで少年のように目を輝かせている三村さんのお姿が想像できました。やっぱり駅弁って食文化なんだ、と改めて納得できた瞬間でもありました。
もし園部駅・
淡路屋さんの「松茸めし」を食べたいとお感じになった方は、まずご主人の三村さんに連絡をしてみてください。幸運を祈ります。
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