下は2009年7月5日、三島駅で購入した「三嶋物語 夏の想ひ出」1000円。2009年7月1日から8月31日まで売られる期間限定の新作駅弁。夏の季節弁当という位置づけになります。

    

今回は駅弁「三嶋物語 夏の想ひ出」を片手に、街中がせせらぎの三島を簡単にご案内します。まず、何となく少年時代を偲ぶような掛け紙です。少年時代を思わせる風景から。下は三島駅南口から徒歩3分の湧水公園である白滝公園(地元では「水泉園」と呼びます)の脇にある「めぐみの子」。近寄るとセンサーが働いて子どもたちが井戸水をくみ上げる動作をし、富士の雪解け水が源水である三島の水を飲むことができます。

    

また、掛け紙の雰囲気は「水の都」である三島をも思わせます。実際、三島の町は富士山の湧水が昔から豊富で、下の案内図にもあるように、三島駅(南口)を降りると徒歩1分で小松宮彰仁親王の別邸「楽寿園」という大きな日本庭園があり、その中の湧水池「小浜池」から端を発する源兵衛川のせせらぎには、三島市の鳥、カワセミが川面をかすめるようにして街中を低空飛行しているのです。

    

下は桜川。白滝公園のすぐ横を三嶋大社の方に向けて流れていきます。三島駅から東に徒歩3分のところにある菰池(こもいけ)に端を発する湧水川で、灯籠流しにも使用されます。この川べりにある水上通りには柳並木があります。

     

下は楽寿園の正門。三島駅前にも駅前門はありますが、正門でも徒歩3分の距離。上の地図で「現在地」と書かれているあたりで、「めぐみの子」像の筋向かいです。このように私が生まれ育った三島は、街の中心地に水と緑がたくさんある、本当に風情豊かな味のある街なのです。今回は楽寿園は素通りします。

    

三島駅から南へ徒歩5分。市街地のど真ん中を流れる源兵衛川です。「げんぺえがわ」と読みます。川縁には板が敷かれ、誰もが歩ける水上プロムナードを実現しています。私が子どもの頃はそんなしゃれたものはなかったですが、今も昔も子どもたちの水遊び場です。私もこの川のこの場所でよく遊んだものです。

    

ハヤなどが生息するこの川はもちろん湧水ですから、しびれるほどに水が冷たいのですよ。ちなみに繁華街まで徒歩2分の場所です。

     

その西側、徒歩20秒にある蓮沼川(通称「宮さんの川」)には石像やら水車やらが目を引きます。ここは源兵衛川と共に毎年「ほたる祭り」でホタルが乱舞する川です。

     

祭りの時でなくてもチラホラとホタルを見ることはあります。市街地にホタルが舞う街はそうないと思います。昼間には鴨やアヒルがのんびりと休む光景も見られます。

    

下は蓮沼川のほとりに掲げられた昔の写真。昭和20年代まではこんな感じだったろうと思われます。昔は下の画像ほどまでに水が豊富だったのですが、戦後次々にできた繊維工場の地下水汲み上げにより、工場がお盆休みの時以外は、水の量が減ってしまいました。しかし、今でも十分に当時の名残をとどめています。

    

下は御殿川。桜川から「めぐみの子」像の近くで分岐する支流です。ここも川べりが遊歩道になっており、三島っ子の遊び場となっています。

     

下はミシマバイカモという水中花で有名な三島梅花藻の里。三島駅から南へ徒歩15分。伊豆箱根鉄道三島田町駅からだと徒歩5分です。

     

この季節、ちょうどミシマバイカモが咲いていました。本当に水の中でも咲いています。この花は清流にしか咲きません。それだけ三島の水が綺麗だと言うことになります。

    

ここで駅弁と一緒に買った「うなぎまんじゅう」130円をいただきます。桃中軒の三島駅南口売店でのみ2009年5月5日より販売されています。古くからうなぎの町でも知られる三島の「うなぎ横町」との共同開発商品と言うことです。

    

下は桃中軒の三島駅南口売店にあったポスター。うなぎの佃煮をメインにして、ネギとごぼうのきんぴら、生姜が入っています。生臭さは全くありません。なお、桃中軒の三島駅南口売店には5種類のジェラートまで売られるようになりました。一度お試し下さい。

    

暑い夏の日に温かいうなぎまんじゅうもまた乙なもの。三島梅花藻の里の筋向かいにはウナギ屋(蒲焼きの店ではなく、鮮魚店)もあり、小学生の頃に私も源兵衛川で捕獲したウナギを友達と売りに行ったことがあったのを思い出しました。

    

さて、そろそろ「三嶋物語 夏の想ひ出」を賞味するとしましょうか。おっとその前に、この駅弁に入っているメイン食材は「みしまコロッケ」。それが単品でも売られていますので買ってみました。130円。7月以前は甘藷のコロッケでしたが、7月からは初夏が旬のメークイン(三島馬鈴薯)を使用しています。

     

箱根西麓のジャガイモ畑から掘り上げて2週間近く日陰干しし、余分な水分を飛ばしてデンプン質をのせます。これを「完全風乾」というようです。この「三島馬鈴薯」は東京の高級ホテルなどでも人気があるとかで、全国的にも有名なのだとか。そしてそれを用いたコロッケが、「三嶋物語 夏の想ひ出」の中にも入っていました。

    

「みしまコロッケ」のまわりに添えられたレタスは洋食の雰囲気を醸し出しています。このお弁当は2段重ねで、おかずのお重は4分割となっています。じゃこと三つ葉の玉子焼き、夏野菜である茄子の鶏肉挟み焼き、鶏肉のカレー揚げ、太刀魚の利休揚げ、カボチャ煮、昆布巻き、アスパラ、花人参、プチトマトなど、彩りが工夫されています。

    

ごはんはちらし寿司。桃中軒が夏にお得意の梅、じゃこ、ミョウガ、枝豆入りのさっぱりした内容で、毎年人気があります。

    

下はお品書きです。冷めても形をしっかり整えつつ、中もホクホクした太刀魚の利休揚げ、鶏肉挟み焼きがとても美味しいです。

    

水の都、三島の川べりで童心に返って暫く水遊びに興じつつ、疲れたら木陰のベンチに座って、ひんやりした冷気を感じ取りながら、さっぱりといただきたいお弁当でしょうか。

    

もちろん、停車時間が毎度5分はありそうな新幹線「こだま」号の停車時間にホーム売店で買い求め、富士山などを見ながら車内でいただくのもオススメです。ぜひ、涼を求めて夏に三島にいらしてください。

    

  2008年まで売られた三島駅の夏弁当を見る(三島せせらぎ事業について)

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