2006年8月17日に新発売された桃中軒「三嶋旅情 頼朝公旗挙げ御膳」。三島駅の限定駅弁です。

    

1180年8月17日、伊豆の韮山・蛭ケ小島に配流されていた源頼朝公は平家を討つために兵を挙げ、監視役だった平家の平兼隆を攻めました。その日は三嶋大社の大祭。参拝客の群衆に紛れて平兼隆邸に攻め込み、勝利を収めたと「吾妻鏡」にも記されています。以後、1192年に鎌倉幕府を開き、征夷大将軍となったことは余りにも有名です。

    

この駅弁は三島商工会議所とのコラボです。価格は1180円で2段重ね。源頼朝が三嶋大社で旗挙げした西暦1180年に因み1180円で新発売しました。このお弁当のテーマは源頼朝公が富士の巻狩りで仕留めたものや地元民が献上したものなどをイメージして満載しているほか、三島商工会議所が商標登録した「旗挙げ」を活用し、頼朝公ゆかりの地と縁起物の食材に徹底的にこだわった三島の新名物駅弁と言えます。単なる期間限定ではなく、今後の主力商品として期待されているようです。

    

三嶋大社の境内には源頼朝公が平家討伐の心願を込めて百日参りをした際、休息のために腰掛けたとされる石「腰掛石」というのがあります。

    

そこにこの「三嶋旅情 頼朝公旗挙げ御膳」を鎮座させてみましたが、大祭の最中で参拝客も多く注目を浴びそうだったので、中身まで開いて撮影する勇気はありませんでした。

    

そこで、本殿に行きましたがここも神事の真最中で近寄れません。仕方なく舞台に近いところ(おみくじが置かれる台の上)で広げて撮影しました。

    

なお、掛け紙は箱タイプですが、描かれた三嶋大社の所蔵画を参照した郷土誌の絵(頼朝公と加藤景廉公)がたまたま左右反転して掲載されており、見栄えも良かったため、そのまま使用してパッケージを500個制作したそうです。

しかし、その後は三嶋大社とも相談の上、やはり原画の配置通りの方が良いだろうと言うことになり、印刷し直して使用するということです。初期タイプである最初の500個は反転したままのものですので、これについては案外マニア受けしそうな話題でもありますね。


    

お品書きは次の通りです。
壱の段(左側)
●かちどり 鶏肉の生姜煮  ●焼き目勝ち栗  ●ことを茄子 なすのみそ焼き  ●神助によろこぶ 海老しんじょ昆布包み ●人参煮 花人参  ●赤ピーマンとしし唐の素揚げ  ●さざえのしょうゆ煮  ●海苔の玉子焼  ●百日参りの餅二身 餅と白身魚の二身蒸し
弐の段(右側)

●りんどう冥加飯(黒米ご飯 梅、茗荷) ●須山献上茶飯 ●香の物葉唐辛子

もちろん、お品書きもついています。この左側には三島付近の頼朝公ゆかりの地図もついていました。

 

また、蓋の裏には源頼朝公の旗挙げについて説明書きがなされています。

           

下は桃中軒からいただいた中身の画像です。

          

この駅弁「三嶋旅情 頼朝公旗挙げ御膳」は源頼朝が旗挙げした8月17日をわざわざ待って発売されました。発売当日は前日の地元紙夕刊で紹介されたこともあって、この駅弁が売店にその日最初に並ぶ午前10時に行くと、あっという間に売り切れました。しばらくの間は手に入りにくいかも知れませんね。

    

三島では現在も8月15日〜17日まで「源氏旗挙げ祭り」である三嶋大社の大祭があり、流鏑馬や旗挙げ行列、農兵節パレードなどが市内で繰り広げられます。少し2006年の祭りを見てみましょう。上と下はなぜか1日早い8月16日に行われる旗挙げ行列の画像です。この年の頼朝公役は俳優の照○さんでした。

    

旗挙げ行列には北条政子役も登場します。一番右がそうですが、横を向かれてしまいました。

    

下は屋台御輿です。鉦(かね)や太鼓や笛でリズムをつくり、それは町内会で異なった「シャギリ」と言う独特な音楽となります。それをお互いに屋台を揺るがせるほど激しく演奏しあって、相手のリズムを狂わせるまで戦う「競り」は見どころ、聴かせどころです。

    

流鏑馬も見どころの一つ。また、全国的に有名な民謡「富士の白雪ゃノーエ〜♪」でお馴染みの「農兵節」パレードもみどころです。下の画像は8月17日に行われる流鏑馬の神事。

    

この駅弁「三嶋旅情 頼朝公旗挙げ御膳」の中身をもう一度見てみましょう。まずは「壱の重」から。

    
    

わさびがついているのが百日参りの餅二身(餅と白身魚の二身蒸し。これと人参煮、勝ち栗、獅子唐、サザエは1つずつですが、海老しんじょう、赤ピーマン、玉子焼き、鶏焼き、茄子は2つずつというのも特徴です。妻である北条政子の分をイメージしているのでしょうか。彩りのよさも食欲をそそります。

    

下は「弐の重」。ごはん折です。黒米、ミョウガ、梅のリンドウごはん、本当にお茶の飯、葉唐辛子の味のバランスも緩急自在で言うことありません。

    

金ピカでいかにも物々しい入れ物を開けると、最初は野趣溢れ、猛々しい雰囲気を持つ「串もの」のおかずに目がいきます。しかし、回りには繊細で上品そうなおかずが控えており、よくよく眺めるとその男らしさと女らしさを持つおかずが織りなす微妙なバランスが楽しい駅弁でもあります。

    

地元駅弁ファンとしてとして桃中軒と三島商工会議所の思いを僭越ながら代弁させていただきます。「伊豆・三島へぜひお越しいただき、この「三嶋旅情 頼朝公旗挙げ御膳」を携えて、三嶋大社をはじめとする頼朝公ゆかりの地を訪れていただければ幸いです。」と。

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