あくありすらんど旅行記に戻る

あくありすらんどに戻る
1年の中で2月,6月,11月の3ヶ月は、旅行なんかに出ない地味な月。出かけたところで、県内移動とか路線バスの旅とか。ところが今回…。

5月も半ば過ぎ、ふととある情報源に“『白馬』復活”の内容が。いつも情報源にしている、交通新聞や鉄道ウィークリーにはそのようなリバイバル情報は全く無く、JRWのサイトにも無し。数日後、友人にこういう情報があったとメールの雑談の中に書いたところ…。
「ん?あぁそれね。運転するみたいよ。そんで、19日の急行指定席券について、実は勝ち組の部類に入ってしまいました。」
え〜っ!?取れたの〜?今まで個人戦ではもちろんのこと、友人達との団体戦でも無理矢理かき集めるのがやっとだった、リバイバル列車のきっぷ取り。何かが味方してくれたのか、奇跡的にゲット!その後のメールで、儂の分も頼む!と打ったのは言うまでもない。

しかし問題があった。一番大変なきっぷ取りは無事完了したが、何を隠そう6月は18きっぷの時期ではない。つまり実費移動。さらに、有休が取れるかどうかも不明(これは、半月後とれた。)。でも、乗りに行きたい!…てなことで、ここから奮闘が始まる。
幸い、GWに使う予定だった株主優待券が手元にまだあったので、時には友人に電話でアドバイス受けたりしながら、時刻表&電卓とひたすら格闘。そして、5月最終週の日曜日に、鳥取駅みどりの窓口にて乗車券と料金券を株優行使一括購入!ついでに初めてのJRバス乗車券も購入し、締めて総計17450円。内訳は次のとおり。

往路。鳥取→南小谷:5410
『はまかぜ』グリーン。鳥取→豊岡:1430(特690,G740)
『きのさき』グリーン。豊岡→綾部:1300(特560,G740)
『雷鳥』グリーン。敦賀→金沢:2660(特1060,G1600)
復路。南小谷→金沢:2350
『北陸ドリーム大阪』JR高速バス。金沢駅前→大阪駅桜橋口:4300(実費)

普通に買うと、とんでもない値段になるところを、頑張ってここまで圧縮。そんでもってハチャメチャじぇ〜たくな移動行程となった。ただ副作用として、旅行までの約2週間は昼食後のカップベンダーのココア(60円)さえも我慢する、オケラ状態だったのは言うまでもない。全ては『(リバイバル)白馬』に乗るため。残っていた手持ちの現金15000円超は、駅弁や記念物のための軍資金にしたのである。

異常に長かった…。前日まで旅に出る実感わかず。

旅立ちの日。早朝の鳥取駅はもはや御馴染みだが、最初から特急に乗るのは何年振りである。いつもの18きっぷ旅では、仕方無く1区間か2区間を自由席利用のワープぐらいはあるが、今回はルートの関係上で部分的普通列車利用である。まさにゴージャスな移動。それと同時に、改めて金沢が遠いことを実感する。特急乗っても約7時間かかるのだから、鳥取から(『スーパーはくと』〜『雷鳥』でも約5時間40分)。

第一走者『はまかぜ』に乗る。この系列に乗るだけでも懐かしいしワクワクするのだが、グリーン車は?座席配置は2・2なのでそんなに普通車と変わらないが、リクライニング角度やピッチの広さはやはり違う。何となく、『つやま』のグリーン車の感触と似ている。これが国鉄時代の気動車グリーン車だったのかなぁと、感慨深くなる。そして、1時間19分しっかり寛いだ後、豊岡で下車し朝飯の駅弁を調達。

第二走者『きのさき』に乗る。乗った瞬間びっくり!噂に聞くに『はるか』と同レベルのグリーン車で、JRW在来線では『サンダーバード』などと並ぶ最高クラスとか。落ち着いた雰囲気に2・1の座席配置。角度や広さはもちろんのこと、枕やオーディオまでついた豪華版!確かにゆったりできた反面、思い切り場違いな身分をつくづく感じたわけで…。他の乗客は、いかにも身分のあるビジネスマンで、経済新聞や文庫本片手に慣れている様子。そこで朝飯に駅弁を食っていた自分は異様だっただろう。1時間5分後綾部で下車し、舞鶴小浜線のたった1両の電車に乗り、いつもの自分にランクダウン。まるで、3Wでファイアマリオがチビになって、即死の恐怖に怯えながら8Wに来たような、2時間27分の鈍行旅で敦賀へ。敦賀で昼飯を調達。

第三走者『雷鳥』に乗る。大阪から乗っていた友人に、豊岡と敦賀でおつかいの駅弁を渡し、暫し談笑。その後自分の席へ。先述の『きのさき』に比べると古いのは否めないが、座席配置は2・1で角度も広さも充分あり、これが国鉄時代の電車グリーン車だったのかなぁと、感慨深くなる。そして、1時間26分しっかり寛いだ後、金沢で下車し移動終了。南小谷までの乗車券なので、途中下車をしてもう1人の友人と合流。彼主催のオフ会に参加。

ちなみにこのオフ会、翌日早朝出発の『(リバイバル)白馬』に乗り遅れないよう、テンションやバイタリティを最大値まで高めておこうという、有り難い配慮。

そのオフ会、まさしく濃いものでして…。

翌日早朝5時台、オフ会を終えて出発まで暫し友人宅で待機。そして往復の合間時間の予定を立てることに。誰かが言った「温泉なんてどう?」の一言を機にネット検索をすると、なんと沿線に姫川温泉なるものがぁ!速攻で予定が確定し、いざ金沢駅へ。移動車中のカーナビでは、ハム太郎をやっていた。

駅に到着後他のメンバーと合流し、急いでホームへ。売店でパンなどを買い込んで乗り込むと、少しして慌ただしく発車。7時ちょうど、まだ列車少ない北陸路へ。

悲しいかな、この『(リバイバル)白馬』は先の大事故の影響を受けて、車内イベントや記念乗車証の配布はもちろんのこと、記念駅弁やそれらの車内販売さえなかった。これにはショック。でも、普通なら列車運転自体がボツになっているところ、どういう理由があったのかこうして運転しているのだ(白馬トレッキングの団体列車のついでという噂もあり)。その英断に感謝しなければならない。汽車が好きで乗りに来たのだから、文句は言ってはならない。これまた誰かがボソッと呟いた。
「これが、急行列車の本当の姿だよ。」

石川と富山の主要都市にこまめに止まりながら、乗客を乗せて定期列車を待避して、フルスピードで東に飛ばす。幸い天候に恵まれて、県境付近で見える日本海は穏やか。船が見あたらなかったのは、画的に残念だったが。約2時間後糸魚川に到着。ここで1両増結のため約30分停車の間、急いで駅のキヨスクにダッシュ!駅弁を昼飯に調達。
糸魚川発車後、大糸線のダイナミックな車窓を眺めながら駅弁を食らう。時折お茶を口に含みつつ、迷惑にならない程度に窓を開け、山の涼しい風を体一杯に受け止める。

10時44分、南小谷に到着。そして、この列車の回送も兼ねた臨時普通列車(ボックス1人占め!!)で糸魚川まで一旦戻り、最後の1人を出迎えて平岩まで移動。平岩から徒歩数分の温泉に向かう。
この温泉、なんでも露天風呂から列車が鉄橋を渡る姿が見えるということで有名らしく、実際浸かっている目前に、大糸線色の汽車がぁっ!携帯の電源が切れていて、画像を残せなかったことが悔やまれるが、ゆったりと流れる時間の中でまったりとした時間の贅沢を堪能。

15時21分頃、平岩から臨時普通列車に乗って南小谷へ。その後定期列車がいそいそと折り返すのを見送った後、再び『(リバイバル)白馬』の客となり金沢へ。心地よい揺れに…。

20時、金沢到着。夕食後解散し、1人夜行バスに乗る。




『はまかぜ』車内から望む、餘部鉄橋の真下。
いつもの普通列車からの眺めとは、微妙に違う。



改札口上の発車案内電光掲示板に燦然と輝く、
“急行 リバイバル白馬 南小谷”の文字!



糸魚川駅。車両増結の停車中に、車両撮影会。



キハ52の車内。このシチュエーションこそ、旅そのもの。



南小谷駅にて。
昔は当たり前のように見られた、
急行色と一般色の並び。
私のような人間には、とても新鮮に映る。
数年前まで普通に走っていた地域の人間なのに。



糸魚川色。キハ52-125。



首都圏色。キハ52-156。



一般色。キハ52-115。



ぶらり18きっぷの旅・’05春